2017 Fiscal Year Research-status Report
Novel dynamics induced by the microwave radiation in multicomponent superconductors
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17K14343
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鮎川 晋也 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任助教 (90625477)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 固有ジョセフソン接合 / 鉄カルコゲナイド / 超伝導 / 水熱合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず初めに、ジョセフソン磁束フローの観測などから固有接合であることが主張されている鉄系超伝導体よりも層間距離が大きく、異方性も同程度である水酸化リチウム-鉄セレンの単結晶作製に取り組んだ。温度、反応時間、原料濃度などのパラメータを最適化した水熱合成により、超伝導転移温度が約40ケルビンであり、2ケルビンにおける超伝導体積分率が、ほぼ100%である良質な単結晶が得られた。また、水酸化リチウム-鉄セレンを水熱合成する際の前駆体であるカリウム-鉄セレンと同じ結晶構造を持つ物質探索を行い、新物質を発見した。この物質に対しても水酸化リチウム-鉄セレンと同様に、単結晶が得られた後に水熱合成を行い、固有ジョセフソン接合的振舞いを示すかどうか観測する予定である。 収束イオンビームを用いて単結晶を加工してジョセフソン接合を作製する場合には、金線などで四端子を付ける必要があるが、水酸化リチウム-鉄セレンに対し、作業を数時間かけて大気雰囲気中にて行った場合、超伝導特性が劣化することが判明した。そこで、作業をグローブボックス中にて行えるように顕微鏡の鏡筒に取り付けたカメラの映像信号をグローブボックス外部のディスプレイに送信でき、また、グローブボックス内の雰囲気を保持できる試料密閉セルにより、測定時まで超伝導特性を劣化させないシステムの設計および作製を行った。このシステムを用いて水酸化リチウム-鉄セレンの電気抵抗測定を行い、超伝導特性の確認が取れ次第、ジョセフソン接合を作製し、IV特性を検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シャピロステップを観測するため、GM冷凍機を用いた冷却およびヒーティング抑制のためのパルス測定装置までは立ち上げたが、ガンダイオードを用いたマイクロ波照射システムの構築が十分でない。
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Strategy for Future Research Activity |
ガンダイオードを用いたマイクロ波照射システムの構築を急ぐとともに、層状構造を持った新規超伝導物質を探索し、固有ジョセフソン接合的振舞いの解明に寄与する比較対象を増やしていく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた物理特性測定システム(PPMS)とマイクロ波信号発生装置の組合わせよりも、異動先にあったGM冷凍機とガンダイオードを組合わせた測定システムの方が、マシンタイムの確保がはるかに容易であるため、後者を採用することにした。その結果、高価なマイクロ波信号発生装置の分が次年度使用額として生じた。この次年度使用額分については、ガンダイオードの購入に充て、様々な周波数を揃える予定である。
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