2019 Fiscal Year Annual Research Report
Observation of quantum spin-nematic phase in a one-dimensional quantum antiferromagnet
Project/Area Number |
17K14344
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
藤原 理賀 東京理科大学, 理学部第一部物理学科, 講師 (60722840)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スピン液体 / 量子磁性 / 量子スピン / 低温合成 / スピンネマティック / 中性子散乱 / μSR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的は、スピンネマティック状態を実験的に初めて観測する事である。スピンネマティック状態とは、スピン空間の回転対称性のみが破れた新しい量子スピン液体状態である。 研究開始当初、一次元量子スピン反強磁性体A2CuCl2SO4 (A = Na, K) がスピンネマティック状態の観測に適したモデル物質であると考えていたが、結果として、そうでは無いことが判明した。しかしNa2CuCl2SO4は、DM相互作用に起因するユニークなスピンフラストレーションを内包する擬一次元反強磁性体である可能性が高いことが判明したため、そのまま研究を継続した。加えて、新たなモデル物質の探索の結果、複数の新規低次元磁性体の開拓に成功した。特に、量子スピン状態が実現する一次元量子磁性体フェドトフ鉱、初の正方カゴメ格子量子スピン反強磁性体などを見出し、その結果を報告した。 Na2CuCl2SO4の純良巨大単結晶を育成し、様々な測定手法を駆使することで、そのスピン状態を明らかにした。最近接相互作用は非常に弱く、Cu-Cl-Cl-Cuのパスを持つ四次近接交換相互作用が支配的な一次元量子スピン鎖であることがわかった。中性子非弾性散乱実験から、一次元鎖としての特徴を詳細に観測することができ、μSR測定では、長距離磁気秩序の形成を確認した。さらに中性子回折実験により、磁気構造の決定にも成功し、DM相互作用に起因するユニークなスピンフラストレーションについての新たな知見も得られた。 フェドトフ鉱は銅イオンがユニークな一次元鎖を形成し,鎖間には非磁性イオンが存在するため,極低温においても磁気秩序化せず、ホールデン状態と呼ばれるトポロジカル秩序状態を形成することを明らかにした。 また上記化合物以外にも、新規低次元反強磁性体を数種類見出した。物質探索の際に得られた知見により、新規低次元磁性体の開拓指針の確立にも成功した。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] 擬一次元反強磁性体Na2CuSO4Cl2の磁気構造と誘電特性2019
Author(s)
佐久間 裕太, 藤原 理賀, 満田 節生, 佐藤 拓実, 中尾 朗子, 宗像 孝司,矢野 真一郎, R. Mole, 玉造 博夢, 佐賀山 基, 渡邊 功雄
Organizer
日本物理学会2019年秋季大会
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