2018 Fiscal Year Annual Research Report
Neutron scattering study on magnetic fluctuations in spin-triplet superconductor Sr2RuO4
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17K14349
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Research Institution | 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発 |
Principal Investigator |
飯田 一樹 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発, 中性子科学センター, 研究員 (00721987)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非従来型超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
1994年に我が国で発見されたSr2RuO4はchiral p波のスピントリプレット超伝導の有力候補物質として盛んに研究され続けている。その一方で、Sr2RuO4の超伝導の起源や超伝導の秩序関数については発見から25年が経過した現在でも議論が続いている。その原因のひとつとして、Sr2RuO4の超伝導ギャップに関して角度分解光電子分光による測定が困難なため、超伝導ギャップ関数が未だ決定されていない点が挙げられる。Sr2RuO4に関する残された問題を解決するために我々は非弾性中性子散乱の手法を用いて以下の2つの目標を掲げて研究を行ってきた。(1) Fermi面に存在する3つのバンドのバンド毎の磁気揺らぎを観測する。(2) それぞれの磁気揺らぎに関するスピンギャップ及びスピンレゾナンスを観測する。 本研究ではJ-PARC物質・生命科学実験施設に設置されているAMATERASと4SEASONSという2つの中性子散乱分光器を用いて極低温の非弾性中性子散乱測定を行った。その結果、(1) バンド毎の磁気揺らぎの観測に成功し、(2) 格子非整合磁気揺らぎのスピンギャップの測定に成功した。特に、スピンギャップ近傍のエネルギーの磁気揺らぎ(スピンレゾナンス)のL依存性を精密に測定することで、Sr2RuO4の超伝導ギャップ関数が水平ラインノードを持つことを新たに解明した。この結果はSr2RuO4において未解明の問題である超伝導秩序関数の決定に重要な知見を与えることが期待される。
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