2017 Fiscal Year Research-status Report
磁性体模型における新規なトポロジカル励起と量子液体相
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17K14352
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
赤城 裕 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (20739437)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | トポロジカル励起 / ソリトン / ホモトピー論 / 物性理論 / 計算物理 / 磁性 / トポロジカル不変量 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
スピン1のハイゼンベルグ模型に双二次相互作用項を付加した模型である三角格子上bilinear-biquadratic模型において、ホモトピー論に基づいた解析的な計算と数値的な最適化法の一つであるアニーリング法を用いることで、どのようなトポロジカル励起が現れるかを網羅的に明らかにした。その結果、SU(2)対称性を有する反強磁性ネマティック相で現れるnon-Abelianなトポロジカル点欠陥のうちの一つは、二つに分裂しコア領域を拡大するという非自明な構造を有することが明らかとなった。これはホモトピー論と場の理論だけでは予測ができない、格子上におけるトポロジカル励起の微視的構造であり、数値計算をして初めて分かる構造である。
また、当初の研究計画に基づき、bilinear-biquadratic模型におけるトポロジカル励起のシミュレーションを効率良く行う、アニーリング法を含めたモンテカルロ法のプログラム開発も行った。高効率アップデートの具体的実装方法は、物理的描像に基づいた円錐近似アップデートを、5次元超球面上へ拡張することで行った。実際に、従来の方法と比べ、本手法は低温領域で100-1000倍以上の計算効率を出すことを確認した。一つのデモンストレーションとして、(スピン1の)強磁性相におけるトポロジカル励起であるスカーミオンに対しこの手法を適用し、有限サイズスケーリングを行い、スピンの空間変化の滑らかさに対応するパラメタを変えることで、トポロジカルチャージ(スカーミオン数)が整数値を取ることを示した。本研究手法は、格子上の微視的な模型そのものから生じるトポロジカル励起の微視的構造をより詳細に調べる方法として有望である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にあった研究内容について着実に成果が得られているため。また、上記「研究実績の概要」だけに留まらず、計画に無かった成果として、トポロジーに関連した新しいトピックについても重要な研究成果（乱れがあるもとでのトポロジカル絶縁体/超伝導体の同定とトポロジカル不変量の効率的数値計算法など）が得られているため。また、これらの成果に関して、学術論文にて発表するだけでなく、国内外の学会や会議等で成果発表を行い、そこでの様々な研究者との積極的な議論を通じて、今後の新たな進展への指針にもつながっているため。
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| Strategy for Future Research Activity |
今年度の順調な研究の進捗状況をふまえて、予定通り平成30年度の研究計画を遂行する。また、今年度研究計画に無かった成果を挙げることが出来たため、それらの問題についても深化・発展を図る。
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| Causes of Carryover |
当該助成金が生じたのは、大学業務のため予定していた海外渡航をキャンセルせざるを得なかったためである。また、研究の遂行状況と今後の成果発表などを考慮し、次年度購入予定であったMacBook Proを先に購入し、今年度購入予定であったMac Proの購入を見送ったためである。
使用計画としては、主にMac Proの購入と、APS March Meetingを含めた学会/研究会の旅費にあてる。
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| Remarks |
https://sites.google.com/site/yutakaakagiacademian/
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