2018 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical elucidation for spatiotemporal structures of turbulent particle transports and landform patterns in solid-gas multiphase flow
Project/Area Number |
17K14353
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
新屋 啓文 新潟大学, 研究推進機構, 特任助教 (80794982)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 固気混相流 / 吹雪 / 数値モデリング / スプラッシュ過程 / 画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,固気混相流において複雑な時空間構造を示す飛砂・飛雪現象と砂床・雪面上に周期的または典型的な構造を形成する地形現象に対し,物理学に基づく計算手法の導入および数理科学に基づく理論解析手法の適用を行うことで,風による粒子輸送の平衡・非平衡特性と地形のパターン形成を関連付け両者の普遍的法則及び機構の解明を3年計画で開始した. 2年度では,初年度に開発した次世代型吹雪モデル”Large-eddy simulation coupled with Lagrangian snow transport model”を用いて,弱風(5 m/s)から強風(10 m/s)に至るまでの粒子輸送形態の風速依存性について調べるとともに,吹雪研究の分野で主流であった従来の平均流モデルや観測・実験との整合性を確認した.その結果,粒子の輸送形態は,弱風において輸送の発生と停止を繰り返す間欠的輸送から,強風においてスパン方向に蛇行する連続的輸送へと変化した.また,粒子質量流束の鉛直分布は吹雪の野外観測や風洞実験で確認されるベキ則に従い,粒子の最大跳躍高度が弱風から強風にかけて高さ5 cmから40 cmへと増大した.このような粒子挙動の風速依存性は,従来の平均流モデルや観測・実験に類似しており,次世代型吹雪モデルにおいて既存研究との整合性が確認された. 本年度では,さらに,防災科学技術研究所・新庄雪氷環境実験所にて飛雪粒子の雪面への衝突であるスプラッシュ過程に関する風洞実験に参加した.スプラッシュ過程における雪粒子の三次元飛跡を捉えるため,同期させた2台の高速度カメラを用いて雪面での粒子の跳ね返りや衝突により雪面から新たに放出される粒子が撮影された.そして,ImageJによる動画像解析から各飛雪粒子の見かけ粒径と重心を自動抽出する手法の確立に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2年度の当初の目標は,固体粒子の乱流輸送と地形パターンのOne way couplingを行うことで,輸送に及ぼす地形の効果を確認することであった.そこで,従来の理論研究で仮定されてきた平坦な地表面だけでなく,上り傾斜や下り傾斜における粒子輸送をシミュレーションすることで,輸送に与える地形形状の効果を確認した.数値計算では,傾斜角や粒子サイズ,風速など幾つかのパラメータを変化させ,輸送の傾斜角依存性を議論できる状態にある.2年度では,こちらの解析に十分な時間を割けられなかったが,研究実績の概要で述べた通り,輸送の風速依存性について重要な成果が得られている.また,当初の計画には挙げられていなかったが,スプラッシュ過程に関する風洞実験の画像解析に着手し,今後の数値モデル精度の向上に活用できると考える.以上を踏まえて,2年度の研究実績は,当初の計画以上に進展したと判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(最終年度)では,輸送に与える地形形状の効果として,傾斜面上の粒子輸送特性について輸送量や鉛直分布など平坦な地表面との違いを議論する.加えて,数値シミュレーションの解析だけでなく,傾斜角に伴う粒子衝突角の変化を考慮した平均場近似に基づいた理論的解釈を行う.また,風や粒子衝突による地表面の侵食と粒子運動の停止に伴う堆積による地表面形状の変化を明らかにする.具体的には,埋め込み境界法(Immersed boundary method)を用いて,地表面形状の変化が流体計算に反映される手法の確立を目指す.ただし,本手法の導入は技術的に容易でないと予想されるため,最初の取り組みとして,粒子運動による侵食・堆積が作り出す地形の初期発達過程に着目する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,今年度の予算に前年度の繰越金額(プロジェクト雇用による制約)が多く加わり,かつ,当初想定していた学会等による使用計画のみで使い切れなかったためである.ただし,今年度の繰越金額は前年度の繰越金額よりも少なくなっており,繰越に伴う使用計画の変更を行った結果が伺える.次年度使用計画として,7月開催の国際会議(27th IUGG General Assembly)への参加が決定しており,さらに,フランスやスイスの吹雪研究グループへの訪問を計画している.
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Research Products
(11 results)