2020 Fiscal Year Research-status Report
密度行列繰り込み群法の高度化―点群対称性への適応―
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17K14359
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 宏 大阪大学, 先導的学際研究機構, 特任准教授(常勤) (40632758)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 密度行列繰り込み群 / 角転送行列繰り込み群 / テンソルネットワーク法 / 計算物理 / 手法開発 / 並列化 / スピン系 / 臨界現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,格子模型が持つ大局的な点群対称性に適応した行列積状態の構成法ならびに大規模並列化されたテンソルネットワーク法による状態の最適化手続きの高度化を行うことに加えて、テンソルネットワーク法と相性の良い解析手法の開発を行うことで、量子・古典多体模型に現れる非自明な相及び相転移の数値的同定を達成することを目的としている。
本年度は、当該課題を通じて開発した大規模並列化された角転送行列繰り込み群(テンソルネットワーク法の一種)を用いて、二次元正方格子上の各格子点上に正多角形あるいは正多面体の頂点上にのみ向きを持つことが可能な強磁性的古典スピン模型に現れる非自明な臨界現象の数値的解析を実施した。正六角形の場合、トポロジカル相転移の一種であるBKT転移が発現することはよく知られている。本課題では、角転送行列繰り込み群法の固定点角転送行列に現れるスペクトルを数値的に求めて解析することで、当該転移点で挟まれた臨界相が Effective Z6 Dual-sine-Gordon 模型と関連する中心電荷が1の境界を持った共形場理論で特徴づけられることを示した。また、正12面体(20頂点)の場合、先行するモンテカルロ計算と同様に温度軸に対して単一の2次相転移が確認でき、その臨界性がおよそ中心電荷が2と非自明な臨界指数のセットでもって特徴づけられることを数値的に明らかにした。これにより2次元正方格子上の正多面体模型に現れる臨界性をテンソルネットワーク法で全て解析することに成功し、それらを特徴づける中心電荷の値は内部自由度の大きさに対して単調に増加することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
点群対称性に適応した密度行列繰り込み群の計算プログラムの開発そのものは遅れているが、テンソルネットワーク法の一種である角転送行列繰り込み群の大規模並列化を通して、大規模自由度の古典統計模型に現れる非自明な臨界現象を解析する手続きを構築できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
点群対称性に適応した密度行列繰り込み群の計算プログラムの開発を継続して行うのに加えて、並行して現在開発している点群対称性に適応した希薄粒子系に特化した厳密対角化プログラムの開発及びGitHubでのプログラム公開を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響もあり国内会議、国際会議の旅費を執行できなかったため。本年度執行できなかった予算は、当該研究課題の成果として出版された論文のオープンアクセス化などのための費用に充てる。
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Research Products
(13 results)