2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14362
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
永田 祐吾 東京理科大学, 理学部第二部物理学科, 助教 (30574115)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 原子物理 / 磁気共鳴 / 運動誘起共鳴 / イオン源 / ストロンチウム / コヒーレント共鳴励起 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子分光は,多くの場合,レーザーやマイクロ波のような電磁波を用いて研究されてきた.一方で静周期場を用いた方法(運動誘起共鳴)もあり,結晶内の周期的な静電場を用いた原子のコヒーレント共鳴励起が良く知られている.周期的な静磁場を用いた例もあり,これまでRb原子のゼーマン副準位(1 MHz程度)で磁気共鳴が観測されてきた.このような方法は電磁波による分光法に対し,柔軟な周波数変調幅を持ち,強磁性体を用いることで静周期磁場を非常に強くできると考えられる.本研究ではこの静周期磁場を用いた原子の磁気共鳴を新しい分光法として提案する.その基礎研究として,一価のSrイオンのゼーマン磁気副準位および超微細構造(5 GHz)の磁気共鳴を測定することで,この周波数帯での原理実証を行う. 計画では29年度にコンパクトな電子サイクロトロン共鳴(ECR)イオン源を用いた1価のストロンチウム(Sr)イオン源のみを開発することになっていたが,特注磁石の納期に時間がかかったため,レーザー等の装置を並行して開発した.ECRイオン源にはネオジム磁石とICF70六方クロス管,モノポールアンテナを組み合わせ,世界最小級のECRイオン源を作成した.マイクロ波として2.3 GHz程度,1.5 W程度を導入して放電を確認した.422 nmのレーザーとして外部共振器型半導体レーザーを開発した. 30年度ではSrオーブン,磁気格子の開発を行い,ゼーマン磁気副準位および超微細構造の磁気共鳴の観測を試みる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では29年度にコンパクトなECRイオン源を用いた1価のストロンチウム(Sr)イオン源を開発することになっていたが,磁石の納期に時間がかかったため,Srオーブン開発の代わりにレーザー等の装置を並行して開発した.そのため全体としての遅れは出ていない.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はイオン源のテストとしてArあるいはN2ガスを用いてイオン電流量を測定する.Srオーブン作成し,Sr+イオン源を完成させる.422nmレーザーでRb5s-6p分光を行って安定化させたレーザーでSr+ビームの分光を行う.Sr+を磁気格子に通して,磁気共鳴を観測する.
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Causes of Carryover |
使い切ろうと努力したが,149円の端数が出た.翌年年度分と合わせて,149円を消耗品の購入に用いる.
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