2020 Fiscal Year Research-status Report
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17K14364
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉見 恵美子 (荒畑恵美子) 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (30706411)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超流動 |
Outline of Annual Research Achievements |
弱強度光格子BCS-BECクロスオーバー領域における弱強度光格子中のスピン軌道相互作用をもつフェルミ原子気体超流動の実現可能生の検証、及び、その性質を解明することを目的としている。 2020年度は超流動の崩壊機構について明らかにした。 BCS-BECクロスオーバー領域では、超流動の性質が超伝導に代表されるBCS理論的なものから分子ボソンのBECの超流動へと連続的に移行する。BCS-BECクロスオーバー領域では超流動は平均場BCS理論を基礎としたNozieres and Schmitt-Rink(NSR)理論によって記述される。このNSR理論では平均場BCS理論では考慮されていない対の揺らぎの効果が取り込まれているため、BCS領域だけでなくBEC領域も計算できる特徴をもつが、一様系の場合にしか定式化されていない。本研究では、弱光格子中のSOCを持つフェルミ原子の系にNSR理論を拡張したがそれを利用しBdG方程式を導出した。 光格子を超流動臨界速度よりも速く等速運動させることで、超流動の崩壊を誘起させることができる。超流動臨界速度にはクーパー対の崩壊に起因したものと、超流動が音速を超えたために起こるLandau不安定性(集団励起)に起因したものの二つがあり、超流動を担う原子対の性質を反映し、質的な違いが現れることが期待される。クーパー対の崩壊に起因する超流動臨界速度をBdG方程式から求める。また、低エネルギーにおける集団振動については一般乱雑位相近似による密度応答関数の計算から求め、対の形成とその性質について明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
妊娠、出産とコロナによる海外渡航が不可能になっため、共同研究者との打ち合わせに支障が出たため
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に得られた数値解析の補完するため、実際に光格子が等速運動していてる場合についてBdG方程式の時間発展をシミュレーションすることにより、超流動が崩壊する過程を明らかにする。特に、s波超流動とp波超流動が混在しているような状況下において、2つの超流動の混在によって引き起こされる超流動の崩壊現象について解析を行う。さらに、超流動崩壊後に密度波の形成の可能性に関しても研究し、密度波の形成過程についても調査する。
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Causes of Carryover |
妊娠、出産とコロナによる海外渡航ができなかったため、海外旅費が使用できなかったため、次年度塩洋楽が生じた。 オンラインでの打ち合わせの効率化と論文執筆関連費の支出を予定している
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Research Products
(1 results)