2021 Fiscal Year Research-status Report
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17K14364
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉見 恵美子 (荒畑恵美子) 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (30706411)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超流動の崩壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は弱強度光格子BCS-BECクロスオーバー領域における弱強度光格子中のスピン軌道相互作用をもつフェルミ原子気体超流動の実現可能生とその性質の解明である。特に、超流動がトポロジカル超流動であるか検証し、トポロジカル超流動と超伝導における普遍的な物理現象の詳細な解明を目的とする。本研究の最大の特色はSOCを持つフェルミ原子気体超流動の実現のために弱強度光格子を用いることである。今年度は超流動の崩壊機構について明らかにした。 光格子を超流動臨界速度よりも速く等速運動させることで、超流動の崩壊を誘起させることができる。超流動臨界速度にはクーパー対の崩壊に起因したものと、超流動が音速を超えたために起こるLandau不安定性(集団励起)に起因したものの二つがあ超流動を担う原子対の性質を反映し、質的な違いが現れることが期待されていた。 今年度はクーパー対の崩壊に起因する超流動臨界速度をBdG方程式から求めた。また、低エネルギーにおける集団振動については一般乱雑位相近似による密度応答関数の計算から求め、対の形成とその性質について明らかにした。BCS-BEC クロスオーバーは極低温原子気体特有の現象であり、従来の固体物理の知見にはない新たな量子現象が期待される。 超流動の性質について超流動の崩壊などの動的性質から探るというのも本研究の特徴である。超流動の崩壊といった動的性質は超流動の素励起や集団励起の性質をよく反映することが知られているが、その研究は少ない。実験的には弱光格子を等速で動かすことにより、SOCを持つフェルミ原子気体超流動の動的性質の解析から超流動の性質を明らかにすることで、これまで明らかにされなかった新奇な物理現象・性質の発見・解明が促進されることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナの影響により、海外出張ができなくなり、共同研究がうまく進んでいない。また、研究を効果的に進めるため、既存のNSR理論を弱光格子中の場合に拡張した。しかし、単純な拡張では対象とする系が記述出来なく,適宜、実験に即したパラメータでの数値計算を取り入れた近似を用いることで、効果的に研究を進め新たな理論を構築することを検討した。導入した近似の妥当性に関しては、実験との比較などを行うことにより再評価することで、その適用範囲を明確にした。以上のことをおこなったため、当初の計画より。ややおくれている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究で得られた数値解析の補完するため、実際に光格子が等速運動していてる場合についてBdG方程式の時間発展をシミュレーションすることにより、超流動が崩壊する過程を明らかにする。特に、s波超流動とp波超流動が混在しているような状況下において、2つの超流動の混在によって引き起こされる超流動の崩壊現象について解析を行う。さらに、超流動崩壊後に密度波形成さの可能性に関しても研究し、密度波の形成過程についても調査する予定である。パソコンでの数値計算が困難になった場合にはワークステーションやスーパーコンピューターなどの大型計算機を利用して研究を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる海外渡航の自粛により、海外での共同研究ができなかった。今後はコロナウイルスなどの状況をみながら、海外との共同研究を進めていく。 また、大規模計算が必要になったので、ワークステーションなどの導入も検討する
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