2022 Fiscal Year Research-status Report
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17K14364
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉見 恵美子 (荒畑恵美子) 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (30706411)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超流動 / 冷却原子気体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、弱強度光格子 BCS-BEC クロスオーバー領域における弱強度光格子中のスピン軌道相 互作用をもつフェルミ原子気体超流動の実現可能生の検証、及び、その性質を解明することを目 的としている。特に、発生する超流動がトポロジカル超流動であるか検証し、トポロジカル超流 動と超伝導の関連性およびその普遍的な性質について解明することを目的にしている。 2022年度は超流動の崩壊機構について詳細に明らかにした。 光格子を超流動臨界速度よりも速く等速運動させることで、超流動の崩壊を誘起させることができる。超流動臨界速度にはクーパー対 の崩壊に起因したものと、超流動が音速を超えたために起こる Landau 不 安定性(集団励起)に起因したものの二つがあり、超流動を担う原子対の性 質を反映し、質的な違いが現れることが期待されていた。本年度はBdG 方程式と般乱雑位相近似による解析を行い、クーパー対の崩壊に起因する超流動臨界速度を BdG 方程式から求め、 また、低エネルギーにおける集団振動については一般乱雑位相近似によ る密度応答関数の計算から求めた。 その結果、BCS-BEC クロスオーバー領域での臨界速度は、実際に実験[D. E. Miller, J. K. Chin, C. A. Stan, Y. Liu, W. Setiawan, C. Sanner, and W. Ketterle, Phys. Rev. A 99 063627 (2009)]によって得られているものとよい一致が見られた。本研究で新たに構築した理論は弱強度光格子2成分 Fermi 原子気体の性質をよく記述できていると考えられる。また、超流動臨界速度の計算により、超流動の崩壊機構を解明することで超流動を担う原子対の性質の解明が行えることが検証できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で、海外渡航ができず、海外にいる共同研究者との打ち合わせがやや難しかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた数値解析の補完するため、実際に光格子が等速運動していてる場合について BdG 方程式の時間発展をシミュレーションすることにより、超流動が崩壊する過程を明らかにする。 特に、s 波超流動と p 波超流動が混在しているような状況下において、2 つの超流動の混在によっ て引き起こされる超流動の崩壊現象について解析を行う。さらに、超流動崩壊後に密度波の形成 の可能性に関しても研究し、密度波の形成過程についても調査する。 得られた結果を論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で海外渡航ができす、海外渡航のための旅費が使いきれなかった
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