2018 Fiscal Year Research-status Report
惑星探査機搭載能動型蛍光X線分光計の高精度軽元素分析
Project/Area Number |
17K14381
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
長岡 央 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 特別研究員(PD) (10707805)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 蛍光X線分析 / 惑星探査 / 元素組成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、将来の惑星“着陸探査”に向けて、惑星の起源と進化の解明に繋がる惑星物質の元素情報を詳細に解読するため、その場での高精度・多元素同時分析が可能な“能動型蛍光X線分光計”の開発を行うことである。生命発生の前駆環境形成に必要不可欠な軽元素分析のために、本研究では“シリコンナイトライド(Si3N4)”を大面積シリコンドリフト型X線検出器(SDD)の電極面に形成してウィンドウとして用いることで、軽元素の検出効率が大幅に向上した惑星探査用X線分光計の開発を目的とする。 本年度は前年度に引き続き、Amptek社で市販されているSi3N4ウィンドウ型SDD(XR-100FASTSDD-C2,Si3N4厚40nm)を用いて、高真空下(~10E-5 Pa)にて、検出器の性能を評価した。X線発生装置には、カーボンナノチューブ(CNT)とMo泊を組み合わせたX線発生装置を使用した(MoのL線のエネルギーは2.29 keV)。Al、Mgに加え、より軽い元素の計測に特化した計測システムである。 本研究で得られた研究成果は、国内会議「日本地球惑星科学連合2018年大会」と国際会議「15th Annual Meeting Asia Oceania Geosciences Soceity」にて、それぞれポスター発表を行った。また、2019年6月に開催される32nd International Symposium on Space Technology and Scienceにて口頭発表を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は、所属研究機関の変更に伴う実験装置の移管・移動、ならびに実験環境構築に時間を要した。また真空装置の一部が故障したので、修理に係る該当箇所の部品を購入したが、納入に時間がかかり、研究計画の進捗に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の本研究では、実際にSi3N4がX線検出窓として、宇宙機に搭載可能かどうかを検証する。既製品のSi3N4薄膜を購入し、振動実験を行い、耐久性を調査する予定である。また、Si3N4を取り扱う業者と連絡を取り、実際に検出器表面上に薄膜を蒸着する上での要検討事項を調査し、洗い出しを行っている。今年度はこれら検討事項をもとに、宇宙機搭載に向けた検出器開発を進める。 CNT型X線発生装置の改良は、申請者が平成30年度から平成32年度まで受給する特別研究員奨励費(課題番号18J01786)を用いて行う。 これらは将来探査用能動型蛍光X線分光計の研究開発という点で共通であるが、こちらは分光計の検出器開発が目的であり、奨励費はX線の励起源となるCNT型発生装置の開発が目的である点が異なる。
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Causes of Carryover |
所属研究機関の変更に伴い、実験装置の移管・移動に時間を要したこと、真空装置の一部が故障したので、修理に係る該当箇所の部品を購入したが、納入に時間がかかったことによる進捗の遅れにより、次年度使用額が生じた。 次年度はSi3N4薄膜を購入し、振動実験等に使用する。そのためSi3N4薄膜の購入費と、薄膜蒸着に係る費用を物品費として使用する。また成果報告として、学会発表に係る国内旅費(32nd ISTS)と、成果報告のための論文投稿費、印刷費に使用する。
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Research Products
(2 results)