2017 Fiscal Year Research-status Report
Statistical and Numerical Study to Construct Conceptual Model of Extratropical Cyclones around Japan
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17K14391
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栃本 英伍 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (40749917)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 温帯低気圧 / 総観規模 / 前線 |
Outline of Annual Research Achievements |
長期客観解析データから抽出した温帯低気圧のデータベースを用いて、竜巻を生ずる温帯低気圧と生じない温帯低気圧の構造や環境場の違いを明らかにした。全ての季節において、竜巻はより不安定な成層を持つ環境下で発生していた。一方で、低気圧スケールの鉛直シアの違いは、竜巻を生ずる低気圧と生じない低気圧の間で大きな違いが見られなかった。また、日本と米国で竜巻を生ずる温帯低気圧の構造や環境場を比較したところ、米国の温帯低気圧内部はより竜巻発生に適した環境場を形成することが明らかとなった。竜巻発生の環境場を理解する上で、竜巻を生ずる低気圧と生じない低気圧の違いを明らかに出来たことは重要な成果であると考えられる。これらの成果を査読付きの国際学術論文誌に投稿し、受理された。 また、日本付近特有の温帯低気圧の一般的な構造を明らかにするために、温帯低気圧のデータベースを用いて、日本と米国の低気圧の特徴の比較を行なった。低気圧構造とそれに関わる前線構造に着目し、北西太平洋で発達する低気圧と北西大西洋で発達する低気圧の統計的な違いを調べたところ、前線構造に違いが見られた。特に温暖前線に違いが見られ、上層のジェット気流の特徴が太平洋と大西洋で異なることに起因することが示唆された。低気圧に伴う前線構造は、低気圧内の3次元の流れ場や温度場と強く関係しており、低気圧の発達過程にも関連するため、地域による違いを明らかに出来たことは重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
竜巻を生ずる温帯低気圧の構造を明らかにし、学術論文として受理され、一つの成果を得ることが出来た。 また、北西太平洋と北西太平洋の温帯低気圧の構造および前線の特徴を明らかにするという初年度の目標を達成することが出来た。 理想化数値実験の準備がやや遅れているため、区分(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は北西太平洋と北西大西洋の低気圧および前線構造の違いを、統計的に明らかにすることが出来たため、学術論文として投稿する予定である。 また、日本付近の他の地域で発達する低気圧についても、特徴を調べる。特に日本海やオホーツク海で発達する低気圧は世界的にも特有の領域であると考えられ、その特徴を明らかにする。 さらに、低気圧構造の普遍的理解を深めるために、平均的な環境場を基本場とした理想化数値実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
翌年度使用のため。
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Research Products
(10 results)