2018 Fiscal Year Research-status Report
Particle Simulations on Space Plasma Interactions with Weakly-Magnetized Small Bodies
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17K14403
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| Research Institution | Kobe University |
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Principal Investigator |
三宅 洋平 神戸大学, 計算科学教育センター, 准教授 (50547396)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 月惑星プラズマ / プラズマ波動 / 超高層物理が宇 / 弱磁化天体 / 数値シミュレーション |
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| Outline of Annual Research Achievements |
月や小惑星など弱磁化固体天体のプラズマ環境を正確に把握する上で、固体表面－プラズマ相互作用は必要不可欠の要素である。本研究は、当該相互作用の結果、天体表層で生起する非熱的プラズマ成分を数値的に予測した上で、高層への自由エネルギー輸送過程を明らかにする。H30年度の主な成果は以下の通りである。
「かぐや」やALTEMIS衛星による月プラズマ観測では、月上空で様々な波動励起が確認されている。本研究で着目するのは、科学衛星と月面の非磁化（磁気異常の存在しない）領域が太陽風磁力線で接続されているときに観測される、VLF帯の電磁波動である。この波動は磁力線に対して右回りの円偏波を有し、電子サイクトロン周波数の数分の一の周波数帯を有するためホイッスラーモード波動と考えられているが、その観測領域は月面から数100～1000 km離れている。一般にデバイ長（数10 m）スケールで特徴づけられる非磁化固体表面によるプラズマじょう乱の影響が、ここまで高高度まで波及するか否かが問題の焦点であった。この点を明らかにするため、太陽風磁力線に沿った長距離のシミュレーション領域を設定し、固体表面から発生する電子分布関数変化と、波動励起の有無を調査した。計算技法としては、月面近傍の高密度光電子層と、上空の太陽風プラズマ領域を分離して計算し、その間を適切に連結した。これにより、月面から100 km（10000デバイ長に相当）の長距離プラズマ粒子モデル計算機実験を実現した。その結果、月面での電子吸収によって、磁力線に平行方向の電子速度分布が大きく変化し、この影響が月面から100 km上空まで波及することを実証した。これは天体の大きさが電子ジャイロ半径より十分に大きいために生じる現象である。この結果として、磁力線に対して平行、および垂直方向の間に温度異方性が発達し、電磁波動を成長させていることが明らかとなってきた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より3年間の課題実施期間で、①弱磁化天体表層環境と②高層電磁気プロセスの物理的相関を明らかにする計画であった。H30年度は計算モデルの工夫により実現した長距離シミュレーションにより、天体表層での固体表面－プラズマ相互作用が、高層でしばしば観測される電磁波動じょう乱を誘発する過程を再現することに成功した。現在、シミュレーションの長時間化やパラメータサーベイにより、この過程の詳細な特徴を調査しており、2019年度中に成果発表が可能な見込みとなっている。
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| Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、研究目的である固体プラズマ境界圏と天体高層プラズマ環境の結合過程解明に向けた計算機実験解析を引き続き進める。計算機実験結果が、「かぐや」やARTEMIS衛星の観測結果と整合的であることを示すことによって、計算機実験から得られた物理的知見の妥当性を示す計画である。このためには、現在波動励起の初期成長段階にとどまっているシミュレーション解析の長時間化が必要である。これを実現するため、シミュレーションプログラムへの陰解法導入などいくつかの準備作業を進めており、まもなくそれらを用いた長時間シミュレーション解析が可能になる見込みである。
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| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として最も大きな点は、2019年度に予定している長時間シミュレーション解析に備え、計算機使用料を確保する狙いがあったためである。このために、H30の予算使用計画を一部変更（新規解析サーバ購入計画の変更等）し、2019年度に繰り越すこととした。
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Research Products
(5 results)
