2017 Fiscal Year Research-status Report
Is the methane reservoir in Titan methane hydrate?
Project/Area Number |
17K14422
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
野口 直樹 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 助教 (50621760)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メタンハイドレート / 拡散 / タイタン / 高圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
土星最大の衛星であるタイタンの大気中には2%のメタンが含まれている。大気中のメタンは、太陽からの紫外線と宇宙線によって光化学反応を引き起こし、徐々にエタンに変わっていく。実験よって決定される光化学反応速度に基づく試算では、メタン初期濃度2%を仮定した場合、数千万年で完全に消失してしまうことになる。そのため、メタンのリザーバがタイタンのどこかに存在することが予想されるが、まだ定かではない。諸説あるなかで、リザーバの候補として有力なのがタイタン内部に存在が予想されているメタンハイドレート(MH)である。タイタン内部のMHの埋蔵量と、そこからの大気中へのメタンフラックスを推定するため、本研究ではメタンハイドレートのメタン自己拡散係数と多結晶体の粒成長速度を決定する。 今年度の実績として、まず、MHを合成するための低温高圧リアクターを立ち上げたことが挙げられる。容量200 ccの高圧リアクターを冷凍庫内に設置し、260 K, ~10 MPaの低温高圧ガス環境を再現できるようになった。高圧リアクターのガス導入部には熱交換器を配置して、低温のガスを高圧リアクターに導入できるようにした。この装置を使って、氷―高圧ガス接触法によりMHの合成が行えるようになった。また、合成したMHを分解させずにダイヤモンドアンビルセル高圧発生装置(DAC)に充填するために低温試料充填装置を開発した。MHのDACへの充填ができるようになり、高圧下でのMHの赤外分光測定およびラマン分光測定ができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画通りに、年度内で低温高圧リアクターを立ち上げと、MHの合成ができるようになった。純度の高いMHを合成することが拡散実験と粒成長実験を行ううえで肝となるため、合成したMHの中に未反応のH2O氷が残っていないかどうかを確認することが必要である。低温X線回折実験を用いて、年度内に合成したMHの純度の確認を行う予定であったが、現状では適切な測定条件を調べている段階である。低温X線回折測定を行っている間に大気由来の霜が試料の表面に付き、このX線回折パターンが2次元検出器上に強く出るという問題があり、これを解決しなければならない。また、MHの純度についてはDACに充填する際に大気由来の霜が入ってしまうことも問題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
低温X線回折測定によってMHの純度を決定するために、冷却窒素ガス吹き付け装置の位置調整などを行って、霜がつかないような適切な測定条件を見つける。また、ガスクロマトグラフィーを用いた純度決定も試みる。DACへのMHを充填する際に霜が混入するのを防ぐために、簡易グローブボックスを導入し窒素雰囲気下で試料充填できるようにする。これらの問題を解決した後、DAC内にMHの拡散対を作成する方法を開発し、メタン及び水素の拡散実験を行う。また、今年度はMH多結晶体の粒成長実験にも着手する。このために、出発物質となる細粒なMH多結晶体の合成も試みる。
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Causes of Carryover |
本年度の研究に必要な物品が予定より少額で賄えたため、次年度使用額が生じた。 次年度は、ダイヤモンドアンビルセル高圧実験用の研究用品が多く必要になると予想されるため、次年度研究費(消耗品費)と合わせて使用する計画である。
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Research Products
(2 results)