2018 Fiscal Year Annual Research Report
Ultrafast measurement of molecular electronic wavefunction by laser-assisted electron impact ionization
Project/Area Number |
17K14431
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣井 卓思 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (20754964)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 電子状態 / 電子衝突イオン化 / 強光子場科学 / 電子衝撃励起 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度までで完成した電子衝撃イオン化観測装置について、低速電子用の検出器にスキマーを導入することによって、入射電子パルスがビームダンパーに衝突した際に発生する二次電子由来のノイズを1 %未満まで減らすことに成功した。その後、校正及び電子パルスの強度調整を精密に行うことにより、エネルギー分解能を1 eV未満に抑えた上で、当初の計画通り、強レーザー場中での電子散乱及び電子衝撃イオン化の観測を行った。その結果として、レーザーアシステッド弾性電子散乱(LAES)を観測することに成功した。飛行時間型電子分析器を用いたLAESの観測は、世界的に見ても我々の研究グループでしか達成しておらず、超短パルスを用いたLAESの観測の高効率化にとって重要な成果である。 これに加えて、電子衝撃励起に続く多光子イオン化過程を、複数の希ガスや分子に対して観測することに成功した。これは実験当初に計画していなかったことであるが、様々な条件での実験及び詳細な解析を重ねた結果、分子の高励起振電状態を観測する新しい手法として有用であることが明らかとなった。本過程の存在自体はすでに報告があったものの(Phys. Rev. Lett., 94, 153201 (2005))、本手法をコインシデンス測定により高励起振電状態の解析に用いることができることを示した点で、重要な研究成果であると考えている。 レーザーアシステッド電子衝撃イオン化(LAEII)に関しては、レーザー場存在下における微分散乱断面積のわずかな上昇は見られたものの、より長時間の積算により明確な違いを観測する必要があると考えている。この点については、高繰り返しパルスレーザーの導入によって解決されるものと考えている。
|
Research Products
(5 results)