2017 Fiscal Year Research-status Report
Modular synthesis of iptycenes using ynolate/aryne triple-cycloadditions
Project/Area Number |
17K14449
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩田 隆幸 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (00781973)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | イプチセン / トリプチセン / イノラート / ベンザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
機能性有機材料への応用が期待できるイプチセン類は、トリプチセン(3つの芳香環が縮環したプロペラ型分子)を構成単位とする芳香族分子であるが、従来の合成法では多くの制限があり、より効率的な合成法が求められている。一方で、報告者らは最近、イノラートが3分子のベンザインと連続的に環化付加反応を起こしトリプチセンを与えることを見出した(ワンポットトリプチセン合成法)。そこで、本研究ではベンザインの代わりにトリプチセンアラインをはじめとする種々のイプチセンアラインをイノラートへと作用させることで、より大きなイプチセン類や環状イプチセンをモジュラー型に合成することを目的とする。29年度においては、本研究の鍵となるトリプチセンアラインの生成について検討した。その結果、上記のワンポット合成法により得られたトリプチセンからメチル化、水酸基の脱保護、ヨウ素化、トリフルオロメタンスルホナート(Tf)化の4工程を経て、アライン前駆体を得た。また、別のフルオロトリプチセンからはメチル化、ヨウ素化によってアライン前駆体を得ることができた。得られたこれら2種の前駆体からのトリプチセンアラインの生成を検討したところ、どちらもアルキルリチウムを作用させると高収率でアラインが生成することを見出した。これらの結果から、29年度においては、トリプチセンアラインを用いたイプチセン類の合成における重要な基盤を築くことに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において第一の鍵となるのはトリプチセンアラインの生成である。29年度では、報告者らが独自に見出したイノラート・アライン3連続環化付加反応を用いて合成したトリプチセンからアラインの生成を検討した。その結果、ワンポット反応により得られた2種のトリプチセンからそれぞれ2工程、4工程の変換によりアライン前駆体を合成でき、得られたこれら前駆体から高収率でトリプチセンアラインを生成することに成功した。これにより、ワンポットトリプチセン合成法を用いたイプチセン類の合成への基盤を築くことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
29年度において見出したトリプチセンアライン生成法を用いて、イプチセン類をモジュラー型に合成することを検討する。イノラートに対して、トリプチセンアラインとベンザインを作用させることでペンチプチセンの合成を検討し、これを基盤に種々のイプチセン類の合成へと展開する。
|
Causes of Carryover |
ほぼ計画通りに助成金を使用した結果、少額の次年度使用額が生じた。 次年度使用額は物品費として使用する。
|