2017 Fiscal Year Annual Research Report
水溶性二核錯体触媒による二酸化炭素を用いた水中カルボン酸合成
Project/Area Number |
17K14462
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
久禮 文章 奈良女子大学, 理学部, 特任助教 (30572557)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多核錯体 / 二酸化炭素 / チオラト配位子 / ホスフィン配位子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「水中で機能する二核錯体触媒を独自のアイデアに基づいて設計・合成し、二酸化炭素を用いるC-H結合の直接カルボキシル化法を開発すること」である。 平成29年度はニッケル・ロジウムおよびニッケル・イリジウム二核錯体の合成法を確立し、これらを用いてこれらをヒドロシランなどの種々の有機物と反応させ、反応中間体を単離し、メカニズムの解明を行った。具体的には、チオラト架橋二核錯体[Ni(meppp)ML2]PF6 (M = Rh, Ir; L = 1/2cod, CO, XylNC, P(OPh)3)を系統的に合成し、これらとヒドロシランなどの種々の有機物との反応生を検討した結果、配位子としてXylNCを有するニッケル・イリジウム錯体のみがヒドロシランを活性化し、対応するシリルヒドリド中間体が得られることを見出した。以上の結果より、P2S2型四座配位子を有するチオラト架橋異種金属二核錯体を合成し、有機基質との反応性を明らかにした。 さらに、二座ホスフィン配位子であるdppmを支持配位子とする銅多核ヒドリド錯体を合成し、その二酸化炭素に対する反応性を検討した結果、二酸化炭素が容易にヒドリド還元を受け、対応するギ酸錯体を生成することを見出した。またこの反応は触媒的に進行し、二酸化炭素を触媒的にヒドロシリル化することを見出した。以上の結果より、二酸化炭素を安価な銅を中心金属とする多核錯体で触媒的に有用な有機物であるシリルホルメートへと変換することに成功した。
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