2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K14468
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
金子 哲 東京工業大学, 理学院, 助教 (10738537)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プラズモン共鳴 / 表面増強ラマン散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
まずナノギャップにおける近接場の大きさについて検討を行うため、金ナノ構造体間に形成されるナノギャップにおける表面増強ラマン散乱強度の検討を行なった。金ナノ構造体は微細加工技術により作製し、ギャップ間隔を精密に制御した上で、1,4-ベンゼンジチオール及び, 4-アミノチオフェノールのラマンスペクトルを計測した。結果、いずれの分子においても表面増強ラマン散乱強度はギャップ間隔が増加するにしたがって指数関数的に減少し、近接場効果の大きさの変化に由来した表面増強ラマン散乱強度の減少を観測した。以上のようにギャップ間隔により近接場の大きさが調節できることを実験的に確認した。更に、二つの分子において同じ対称性を持つ振動モードに関して表面増強ラマン散乱強度について比較を行った所、1,4-ベンゼンジチオールに比べ、4-アミノチオフェノールの方が散乱強度が大きく、表面増強ラマン散乱における化学効果は4-アミノチオフェノールの方が大きいことが明らかとなった。微細加工技術によりナノ構造体の形状とギャップ間隔を精密に作製し、近接場の大きさを制御する事によって化学的な因子を比較することが可能となった。 分子接合における局所光学現象の観測に関して、Mechanically controllable break junction 法をに基づき計測システムの構築し、分子接合の電気伝導度計測および表面増強ラマン散乱の観測に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的としている計測システムはほぼ完成しており、実際に分子接合に対する計測も開始しているため、進捗は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
計測したシステムを実際に分子接合系に適用して単分子接合の物性解明を行う。
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Causes of Carryover |
表面増強ラマン散乱の観測に当たり共通装置の利用が認められ、装置の改良に費やす費用を節約することがができたため。節約できた分の予算は当初予定の2018年度予算と合わせて光学系の改良費用に充当する予定である。
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