2017 Fiscal Year Research-status Report
革新的酸素還元触媒を指向した2D炭素材料の精密合成
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17K14471
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小島 崇寛 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教 (80624410)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 含窒素炭素材料 / グラフェンナノリボン / 2ゾーン化学気相成長法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、白金に代わる革新的固体高分子型燃料電池用電極触媒を指向した含窒素炭素系材料を開発するものである。 これまでに我々が開発した 2 ゾーンラジカル重合型化学気層成長(2-Zone RP-CVD)法 で Z 型モノマーを用いると、金属基板上で分子が変形、自己認識して重合し、自己組織化ホモキラルポリマーを与えることを発見した。また、得られた高密度前駆体高分子アレイから加熱による高効率脱水素縮環反応を経て、鋸型エッジを持つ、アセン型自己組織化 GNR の創出に成功している(Nature Chem. 2017, 9, 57)。 平成29年度は種々のZ型分子を用いたボトムアップ型グラフェンナノリボン(GNR)の合成を試みた。そこでZ型モノマーの2本のフェニレン枝の長さを変えてCVDを行ったところ、予想に反して、分子内部分縮環反応が進行したZ型アレイが生成し、以前の結果と違う反応モードがあることが明らかとなった。分子の金基板上への吸着シミュレーションを検討したところ、反応活性部位であるビラジカルが金基板と相互作用することによって、以前の結果と異なり、Z型分子が対称型の分子構造となり、分子間の重合反応が進行せず、分子内脱水素縮環反応が進行したことが示唆され、分子設計指針に重要な知見をもたらした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にあるように、Z型分子の枝のフェニレン鎖長を変えることにより、金基板上への吸着構造が変化し、反応をコントロールできることが示唆される結果を実験と計算科学的アプローチにより明らかにした。以上の理由から、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、Z型モノマーを用いてGNRの合成を目指す。これまでに明らかになった知見を基に、フェニレン鎖をピリジンをはじめとした含窒素複素環へ置換し、さらにこれらを2Dネットワーク化を試みる。合成されたGNR及び、2Dネットワーク化されたGNRはSTM測定により、直接観察し、窒素原子の導入を確認する。加えて、電気化学的性質について明らかにしていく予定である
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