2018 Fiscal Year Research-status Report
新規電流検出ESR法の開発と有機太陽電池における電荷再結合の複眼的オペランド観察
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17K14477
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
脇川 祐介 静岡理工科大学, 先端機器分析センター, 講師 (90708512)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機薄膜太陽電池 / インピーダンス分光 / 電子スピン共鳴 / 電流検出磁気共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代太陽電池である有機太陽電池の高効率化にとって、電荷キャリアの損失過程を非破壊かつデバイス動作下で評価(オペランド観察)する手法の開発が切望されている。特に、光生成した電荷キャリアの主な損失過程である再結合の速度の評価法は未だ確立されていない。本研究では、既存の電気伝導測定の一種であるインピーダンス分光法と電気的検出電子スピン共鳴法(EDMR)を融合させることで、電荷キャリア再結合を評価する新しい定量法を開発・提案する。また、伝導電子の有するスピンの観点から電荷キャリア再結合・輸送の反応素過程を解明し、その制御法の創出を目指すことを目的とする。そこで、本年度は、デバイス動作条件下で電荷キャリア再結合速度のオペランド観察を実現するために開発した誘電緩和の電子スピン共鳴を測定するEDMR装置を用いて、P型半導体高分子 Poly(3-hexylthiophene-2,5-diyl)(P3HT)の単膜有機ダイオードにおける電荷再結合の研究を行った。EDMR信号の電圧依存性とP3HT配向構造依存性から、ITO/P3HT界面に蓄積された正孔が電荷再結合中心となっていることを明らかにした。また、誘電緩和の電子スピン共鳴信号の印可電圧周波数依存性から、当初の研究計画通り電荷再結合速度の測定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度開発した装置を用いて、当初の計画通り有機デバイスにおける電荷再結合の評価に成功した。次年度は予定通り多層膜から成る有機デバイスの評価を行えるため、上記のように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、単膜有機ダイオードにおける電荷再結合の温度依存性や多層膜から成る有機デバイスの評価を実施する。また、本研究による誘電緩和の電子スピン共鳴信号の印可電圧周波数依存性と従来のAM変調型EDMR信号の周波数依存性を比較し、本研究で開発した装置の優位性を検討する。
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Causes of Carryover |
3年目に実施する有機薄膜太陽電池デバイスの評価において、デバイス作成時に必要なUVオゾン洗浄改質装置の価格が想定以上に高く、繰越金を購入費に充てる。
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Research Products
(5 results)