2017 Fiscal Year Research-status Report
ペンダントアミド部位を有する新規Cp錯体触媒の創成とその特異な触媒活性の探索
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17K14481
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 祐 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (30754494)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ロジウム / C-H官能基化 / 環化反応 / Lossen転位 / シクロペンタジエニル錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベンズアミドおよびアクリルアミド誘導体とアルキンおよびアルケンとの酸化的sp2 C-H結合官能基化について検討を行った。その結果、脱離基を有するベンズアミドを用いると、当初想定された[4+2]環化反応ではなく、形式的Lossen転位/[3+2]環化反応が進行し、種々の官能基を有するインドールおよびピロール誘導体が良好な収率で得られることを見出した。また、実験的および計算科学的知見により、触媒サイクルで形式的Lossen転位が進行する反応経路を提唱した。 一方、ヘテロ芳香族カルバミド誘導体との反応では、環化反応ではなくプロトン化によるアルケニル化反応が優先することを見出した。 脱離基を持たないベンズアミド誘導体とアルケンとの反応では、従来法では化学量論量の酸化剤が必要であった酸化的オレフィン化反応が、ペンダントアミド部位を有するCpAロジウム触媒を用いると、空気を酸化剤とする極めて温和な条件において、さまざまなアルケン誘導体を用いて進行することを見出した。これは、ペンダントアミド部位により触媒活性種の再酸化過程が加速されたためであると推測している。 アニリド誘導体とアルキンとの酸化的[3+2]環化反応が温和な条件において進行することを見出した。とくに、酸性度の低いCpAロジウム錯体を用いても室温で反応が進行するため、シリル基を有する基質を用いても脱シリル化することなく対応するインドール誘導体を得ることに成功した。 また、キラルCp錯体についてもいくつかの錯体の合成に成功し、不斉C-H官能基化反応に対して中程度のエナンチオ選択性を示すことを初期的知見として見出している。 さらに、CpEロジウム触媒を用いると、安息香酸の脱炭酸を伴うアルキン二分子との[2+2+2]環化反応が室温で良好に進行することも見出した。また、エステル部位を有するインデニルロジウム錯体の簡便な合成法の開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、独自に開発した官能基化Cpロジウム触媒を用いることにより、ベンズアミド誘導体とアルキンおよびアルケンとの酸化的C-H結合官能基化反応が良好に進行することを見出し、官能基化Cp配位子の効果を示すことに成功した。 また、ヘテロ芳香族カルバミドに対して予想外のアルケニル化反応が進行することを見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、官能基化Cp触媒を用いたC-H官能基化反応に対して、ベンズアミドのみならずさまざまな配向基に対する本触媒系の適用範囲を調査する。とくに、アルデヒド/ケトン/イミン/電子不足ヘテロ芳香環を配向基とするC-H結合官能基化反応についても本触媒が高い触媒活性を示すと考えられる。 また、単純アルケンのみならず、官能基化アルケンをカップリングパートナーとする反応についても調査を行う。 初期的知見を得ているキラルCp錯体について、エナンチオ選択性の向上を目的として、さらなる配位子構造の拡大と立体環境のチューニングを行う。 また、これまで得られた触媒構造-触媒活性相関に関する知見をもとに、sp3 C-H官能基化反応に挑戦する。
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Causes of Carryover |
当初計画では、キラルCpA錯体の合成を当該年度に行う予定であったが、ベンズアミドとアルキンおよびアルケンとの反応において極めて良好な知見が得られたため、計画を変更しベンズアミドのアルケニル化反応の検討を集中的に行うこととしたため未使用額が生じた。 このため、キラルCpA錯体の合成を次年度に行うこととし、未使用額はその経費にあてることとする。
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Research Products
(16 results)