2018 Fiscal Year Annual Research Report
Carbon-Oxygen Bond Activation Catalyzed by Transition-Metal Complex with a Phosphine-Borane Ligand
Project/Area Number |
17K14486
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小野寺 玄 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (90433698)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ホスフィン-ボラン / パラジウム / イリジウム / アリルアルコール / ベンジルアルコール / 活性メチレン化合物 / シリルエノラート / 炭素―水素結合活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではホスフィン―ボラン配位子を有する遷移金属錯体触媒を用い、ルイス酸部位と中心遷移金属の協働作用を活かして、既存の触媒では切断が困難な炭素―酸素結合を活性化することをねらいとしてきた。 今年度は主に以下の触媒反応の開発に成功した。1つ目は、パラジウム触媒とホスフィン―ボラン配位子を用いたシリルエノラートのアリルアルコールによるアリル化反応である。反応条件の最適化を行った結果、90%を越える高い収率でγ,δ-不飽和ケトンを得ることができた。次にこの知見をもとにして、アリルアルコールによるアルデヒドのα位アリル化反応を開発した。この反応においても90%以上の収率で対応するγ,δ-不飽和アルデヒドが得られた。 研究期間の全体を通して、ホスフィン―ボラン配位子のルイス酸部位と中心遷移金属との協働作用を活かした触媒的炭素―酸素結合活性化反応を開発することができた。この触媒系はアリルアルコールを用いた各種アリル化反応には特に有効であり、活性メチレン化合物、シリルエノラート、およびアルデヒドのアリル化を従来法と比較してより効率良く進行させることに成功した。また、ベンジルアルコールを用いたアミンのベンジル化にも成功し、ベンジル位の炭素―酸素結合活性化にも適用可能であることを見出した。さらにホスフィン―ボラン配位子の新たな活用方法として、イリジウム触媒を用いた2-フェニルピリジンの炭素―水素結合シリル化反応が高効率で進行することも見出した。 以上の研究成果は、ホスフィン―ボラン配位子が炭素―酸素結合の活性化に有効であることを示しただけではなく、当初は予想していなかった炭素―水素結合活性化にも有効であることを明らかにしたものであり、さらなる触媒的有機合成反応への応用が期待される。
|
Research Products
(1 results)