2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel sulfur-containing liquid crystalline polymers and their application to various polarizing films
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17K14493
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
荒川 優樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30757365)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 液晶性高分子 / 光学素子 / 硫黄 / アルキルチオ基 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、分極率の大きなアルキルチオ基(SR)を有する棒状分子構造を、側鎖および主鎖に導入した新しい液晶性ポリマーを合成し、それらの相転移挙動と液晶相構造の解明、および機能開拓を目的としている。本年度は、非共役系および共役系コアの両パラ位にSRを有する分子構造を側鎖に導入したポリマーを合成した。まず、非共役系構造として、汎用的なビスフェニルベンゾエートをモチーフとし、側鎖末端のSRの炭素数を1から8まで変えたポリメタクリレートと、硫黄の効果を明らかにするための比較としてアルコキシ基(OR)類縁体を合成し、それらの相転移挙動と液晶相構造の評価を行った。それぞれのモノマーはすべて5℃以下の狭い温度範囲の液晶相しか示さない一方で、得られたポリマーはすべて50℃~100℃の広い温度範囲で液晶相を形成することがわかった。末端炭素数が小さいポリマーでは層構造のないネマチック(N)相を、大きい誘導体では層構造を形成し、分子が層に直行したSmA相、および分子が層内でチルトしたSmC相を示すことがわかった。磁場により配向した試料を用いたX線回折測定により、同じ炭素数のOR類縁体と比較して、SR系ポリマーは隣接分子間の距離の接近や、SmC相におけるチルト角の減少が見られた。偏光素子への応用を指向し、これら分子構造を用いた光重合性フィルムの合成も一部行い、一軸配向性フィルムを得ることにも成功した。また、共役系分子構造にビストラン骨格[1,4-bis(2-phenylethynyl)benzene(bistolane)]をモチーフとし、両末端にSRを導入した分子も合成し、その相転移挙動を比較した。これらは、モノマーはネマチック相を示すが、ポリマーではSmA相のみを示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は非共役系のビスフェニルベンゾエートおよび共役系のビストラン構造にアルキルチオ基を導入した分子構造を側鎖に有する高分子において、様々な炭素数の誘導体を合成し、アルキルチオ基が側鎖型高分子の液晶性に与える影響を十分に検討することができた。また、偏光素子への応用を指向し、アルキルチオ系ビスフェニルベンゾエート構造を用いた二官能性モノマーの光架橋反応により、一軸配向フィルムを得ることにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、共役系構造を有する側鎖型高分子においてネマチック相を示し、かつ室温ではガラス化によりその配向状態の固定が可能な高分子材料の開発を目指す。また、主鎖型液晶性高分子への展開も行う予定である。
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Research Products
(6 results)