2017 Fiscal Year Research-status Report
生体代謝中間体の分子イメージングを可能にする自己修正的なラベル化法
Project/Area Number |
17K14500
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 敦子 (升谷敦子) 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (10633464)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 金属錯体 / 近赤外吸収 / 生体代謝中間体 / 光音響イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,生体代謝中間体5-S-システイニルドーパの光音響イメージングを可能にするラベル化法を開発することを目的としている.本研究で合成することを目指しているラベル化剤は,三つの部分構造((i) 配位部位,(ii) 配位部位をつなぐリンカー,(iii) 幾何学的制限のためのアーム)から成る.本年度は,ラベル化剤の部分構造 (i) 配位部位の構造の最適化に取り組んだ.5-S-システイニルドーパの(O,O)配位部位モデル及び(O,S)配位部位モデルと平面型錯体を形成して近赤外吸収を示す構造を探索した.その結果,(O,S)配位部位モデルと錯形成し,近赤外吸収を示す白金(II)錯体を見出した. また,ラベル化剤の配位部位を最適化する過程で,様々な配位環境の平面型白金(II)錯体を合成し,それらの近赤外吸収特性を検討した.その結果,O配位の白金(II)錯体の示す近赤外吸収が,溶媒の種類に応じて大きく変化することを見出した.近赤外吸収の変化は溶媒のアクセプター数に相関があり,溶媒と錯体間の水素結合が錯体の近赤外吸収特性に影響を与える可能性が示唆された. 以上の検討より,ラベル化剤の3つの部分構造の中の,配位部位の設計に関する分子設計指針を得ることができた.さらに,5-S-システイニルドーパとラベル化剤の複合体の近赤外吸収特性が溶液内での分子間相互作用によって影響を受ける可能性が示唆された.今後,これらの知見を基に,ラベル化剤の設計に取り組む予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,生体代謝中間体5-S-システイニルドーパをラベル化する手法を開発することを目的としている.本年度は,ラベル化剤の配位部位の設計に関する分子設計指針を得ることができた.ラベル化剤の分子設計指針の一つを獲得することができ,また,得られた研究成果を学会で発表しており,概ね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,三つの部分構造((i) 配位部位,(ii) 配位部位をつなぐリンカー,(iii) 幾何学的制限のためのアーム)から成るラベル化剤の設計及び合成に取り組んでいる.これまでに,(i) 配位部位に関する分子設計指針を獲得できており,概ね順調に研究が進展している.今後は,本年度得た分子設計指針を基に,(ii) 配位部位をつなぐリンカー,(iii) 幾何学的制限のためのアームの構造の最適化に取り組み,ラベル化剤の全体の構造を調整する.さらに,5-S-システイニルドーパとラベル化剤を複合化し,生成した複合体の安定性を評価する.
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