2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of on-site genetic testing system using compact disk-type microfluidic device
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17K14504
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
森岡 和大 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (70794056)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | CD型マイクロチップ / リアルタイム蛍光検出 / グルコース / LAMP 法 / 透明ガラスヒーター |
Outline of Annual Research Achievements |
平成 30 年度は,1) CD 型マイクロチップと蛍光検出システムが一体化して回転する分析システムの基礎的な性能評価および酵素反応のリアルタイムモニタリングに基づくグルコースの定量,2) LAMP 法に基づく携帯型遺伝子検査システムの改良・性能評価について検討した. 1) CD型マイクロチップと蛍光検出システムが一体化して回転する分析システム:前年度での研究では,CD 型マイクロチップと検出器が一体化して回転するシステムを改良し,グルコース測定に伴う酵素反応の進行によって生成するレゾルフィンの蛍光強度を連続的に計測することに成功した.そこで平成 30 年度は,静止状態および回転中での蛍光検出における感度・再現性の違いなど,システムの基礎性能を評価するとともに,リアルタイム蛍光強度測定によるレゾルフィンおよびグルコースの検量線の作成について検討した. 2) 携帯型遺伝子検査システム:前年度の研究では,試料溶液を加熱する透明フィルムヒーターを検出システムに組み込むことにより,遺伝子増幅に伴う蛍光強度の変化をモニターすることに成功した.しかし,このシステムは,加熱に伴う透明フィルムヒーターの劣化によって引き起こされるフィルム面の白濁が測定に影響を及ぼすことや,多検体の同時検査が出来ないという問題点を抱えていることがわかった.そこで,比較的高温でも問題なく発熱することが可能な透明ガラスヒーターや,複数の試料溶液を迅速に加熱することのできるアルミニウム製マイクロウェルホルダーを用いて,遺伝子検査システムの改良を行った.このシステムによる試料溶液の昇温制御および検出感度を,サーモカメラおよびカルセインの蛍光測定によって評価した。その結果,本システムは,透明フィルムヒーターを用いるシステムと同等の感度を有するとともに,多検体の同時測定に応用が可能であることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) CD型マイクロチップと蛍光検出システムが一体化して回転する分析システム:まず,チップが回転している状態において,遠心力や回転のブレによる測定値への影響を明らかにするために,チップの回転状態および静止状態においてレゾルフィン溶液の蛍光測定を行った.その結果,回転中においても大きな影響なく測定できることがわかった.また,回転によって生じる遠心力によって,レゾルフィン溶液がチップの検出チャンバーに流入する様子を,連続的に測定することに成功した.種々の濃度のレゾルフィン溶液で同様の測定を行い,レゾルフィンの検量線を作成した.検出限界(3σ) は 0.21 μM,相対標準偏差(n = 4)は < 14.7 % と見積もられ,回転した状態においてレゾルフィンの蛍光測定が可能であることが分かった. 2) 携帯型遺伝子検査システム:改良したシステムを評価するために,ヒーター上に試料溶液が,66 ℃ に達するまでの時間を測定した.その結果,ガラスヒーターは透明フィルムヒーターと比較して約 4 倍の速度で目的温度に到達できることがわかった.これは,①ガラスヒーターが高温制御が可能であること,②アルミニウム製マイクロウェルホルダーにより,熱を試料溶液に効率よく伝達できたためと考えられる.また,多検体の同時測定が可能であるか評価するために,同時測定が可能な測定プラットフォームを構築し,各チャンネルでカルセインの蛍光測定を行った.その結果から作成した各チャンネルにおける検量線は,相関係数 R2 = 0.980 ~ 0.999 の良好な直線性を示し,検出限界(3σ)は0.29 ~ 4.28 μM と見積もられた.この結果は,改良前のシステムを用いたカルセインの測定により得られた結果と良く一致しており,本システムは改良したシステムと同等の感度で測定が可能であることがわかった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は,開発したCD型マイクロチップと蛍光検出・温度制御システムを組み合わせた全自動遺伝子検査システムを構築し,LAMP法による遺伝子増幅を検討する.まず,DNA 抽出操作をチップ上で達成できる CD型マイクロチップを,フライス加工機を用いて作製する.回転数の制御のみで,溶液の順次送液が可能であることを確認する.小型ヒーターと蛍光検出システムを内蔵したターンテーブルを作製し,これをCD型マイクロチップと組み合わせて遺伝子検査システムを開発する.CD型マイクロチップを回転させた状態で,増幅チャンバー内に入れた溶液の等温制御が可能であることを確認する.温度が低い場合には,チップの回転数やヒーターの設定温度を制御し,最適条件を選定する.開発したシステムを用いて,LAMP法に基づく Human ALDH2 に関連する遺伝子増幅が可能であることを明らかにする.これにより,DNA 抽出・遺伝子増幅・検出をマイクロチップ上で一貫して行えることを確認する. 次に,LAMP 法に基づく最適条件下で検量線を作成し,開発したシステムによりDNAの定量が可能なことを確認する.また,マニュアル操作によるDNA抽出とリアルタイムPCR装置を組み合わせた手法により ,同一試料の測定を行う.得られた結果から,試薬・試料量,分析時間,再現性,感度,装置サイズ,コストなどついて詳細に比較検討する.これにより,本システムを用いてLAMP法によるDNAの定量が可能なことを実証する. 次に,会合曲線解析によるSNP解析への応用について検討する.会合曲線解析では,試料溶液の温度を増加させ,低下する温度を連続的に測定する必要がある.そこで,時間変化に対して温度を制御できるシステムを設計・作製し,ターンテーブルに内蔵する.このシステムを遺伝子検査システムに組み込み,会合曲線解析が可能であることを明らかにする.
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Research Products
(2 results)