2017 Fiscal Year Research-status Report
波長計制御型CRDS微量水分計を用いた高感度・高分解能スペクトル測定技術の開発
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17K14507
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
橋口 幸治 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (00712506)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | キャビティリングダウン分光法(CRDS) / 微量水分 / 波長計 / 周波数制御 / 共振器 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者が独自に開発した「波長計制御型キャビティリングダウン分光法(CRDS)によるガス中微量水分計」を用いたスペクトル測定の高感度化・高分解能化に向けた研究を進めている。共振器の共振周波数とプローブレーザーの周波数を1台の波長計を用いて同時に制御することで、高感度化に必須となるフィネスの高い共振器(反射率の高いミラーを用いた共振器)を使用でき、尚且つ長時間安定測定が可能な計測技術の確立を目指している。さらに、共振器の共振周波数を任意に設定できるようにすることで、従来のCRDSによる測定では制限されていた高分解能なスペクトル測定の実現を目指している。最終的には、実際に微量水分の標準ガスを測定・解析することで、本研究手法の検証を行う。 平成29年度は、まず、CRDS用プローブレーザーの周波数制御機構を確立した。今回、CRDS用プローブレーザーの周波数制御においては、プローブレーザーの二倍波(周波数が2倍のレーザー)を非線形光学結晶を用いて生成し、その生成した二倍波を用いてレーザー周波数の制御ができるようにした。これまで、波長計内の干渉計部分に水が微量に残留していることが原因で、水の吸収線付近でのみ波長計の指示値と実際のレーザーの周波数の間にずれが生じてしまう問題があったが、今回、水の吸収がほとんどない領域にある二倍波を利用することでこの問題を回避でき、水の影響を受けずに周波数制御が可能となった。 次に、共振器の共振周波数の制御機構の確立を行った。共振器の共振周波数は共振器長に依存しているため、今回の装置では共振器のミラーの片方に圧電素子を設置して共振器長を変えられるようにし、共振周波数の制御を可能にした。共振周波数の制御における参照用レーザーとしては波長可変半導体レーザーを採用し、このレーザー周波数を波長計で制御することで、共振器の共振周波数を任意の値に制御できるようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、順調に進展している。 CRDS用プローブレーザーの周波数制御機構を確立することができた。プローブレーザーの二倍波を生成し、制御に利用することで、波長計内の残留水分による影響のない周波数制御を可能に出来た。また、共振周波数の制御における参照用レーザーとして波長可変半導体レーザーを導入し、レーザー周波数を任意の値に制御できるようにした。 国際学会、国内学会において、これまでの成果を発表することもできた。これまでの成果により、第42回(2017年春季)応用物理学会講演奨励賞を受賞し、招待講演を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もこれまで通り、着実に研究を進めていく。 まずは、CRDS用プローブレーザーの周波数と共振器の共振周波数の同時制御を長期間安定的に行えるようにする。1台の波長計を用いてプローブレーザーの周波数と共振器の共振周波数の同時制御を目指す。波長計に入射するレーザーを高速に切替可能な装置(スイッチャ)を導入し、さらに同時に周波数制御可能なフィードバック制御機構をを導入することで、2つの周波数の同時制御を目指す。波長計によるレーザー制御に必要な時間は10 msオーダーであるため、10 ms程度での切替が可能になるスイッチャを用いる。切替のタイミングや制御に必要な時間など、実際にレーザーを制御してみて最適解を求める。開発した測定装置が長時間安定に測定できるかの確認を行い、安定性を制限している要因を明らかにし連続測定可能な装置の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
第42回(2017年春季)応用物理学会講演奨励賞受賞により、予定していた学会旅費分を次年度に使用する。 次年度は当初の予定通り、研究用物品の購入、および学会旅費に使用する予定で、加えて論文投稿費等のその他として使用予定である。
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Research Products
(4 results)