2017 Fiscal Year Annual Research Report
核酸結合性蛋白質との結合をトリガーとした、蛋白質架橋反応性核酸誘導体の開発
Project/Area Number |
17K14509
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 研 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (70736074)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 核酸誘導体 / 蛋白質架橋反応性分子 / オリゴヌクレオチド |
Outline of Annual Research Achievements |
核酸結合性蛋白質はDNAやRNAに結合し、多くの細胞内遺伝子発現制御機構に関わっていおり、その中でも様々な疾患との関連性をもつmiRNAは、RNA-蛋白質複合体が作用本体として機能している。しかし、その複合体の詳細な立体構造など未解明な点も多く、新たな解析ツールの開発が望まれている。本申請課題では核酸2重鎖に近接した蛋白質に対して高い選択性で架橋形成する方法論の開発を目指した。具体的に、マイケル反応受容体となるビニル基を搭載した1,3,5-トリアジンを有する核酸誘導体が、2重鎖形成時に相補塩基との水素結合形成により反応点であるビニル基がメジャーグルーブ側に位置し、そこへ近接した核酸結合蛋白質の求核的アミノ酸と反応することを期待した。本年度はデザインした核酸誘導体を有するオリゴヌクレオチド合成法の確立、および標的モデルとして結晶構造が明らかになっている酵素蛋白質である、Hhal-DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT1)を設定した。その理由として、DNAと複合体を形成時に、特定のシトシン塩基の6位近傍に求核性アミノ酸であるシステインが近接するため、このシトシンを本研究で開発した架橋反応性核酸塩基に置換することで、システインへの架橋反応が進行すると考えたためである。実際に反応特性を検討したところ、大変興味深いことに、DNMT1に対して高効率に架橋反応が進行したことをSDS-PAGEにて確認した。反応の特異性を検討するために種々反応条件を検討したところ、過剰量のメルカプトエタノール存在下でも問題なく反応が進行したこと、相補鎖存在下のみ高効率に架橋反応が進行することも確認できた。これら結果から、本研究で開発した核酸誘導体は標的となる求核性アミノ酸残基が近接した時のみ反応性を示すこと、また自鎖、相補鎖、蛋白質3者複合体を形成して架橋反応が効率的に進行したことが示唆された。
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