2018 Fiscal Year Research-status Report
Identification of reaction intermediates in iron-sulfur cluster biogenesis for understanding its reaction mechanism
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17K14510
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
藤城 貴史 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (20740450)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 鉄硫黄クラスター / 生合成 / 硫黄 / X線結晶構造解析 / システイン |
Outline of Annual Research Achievements |
硫黄クラスターは、無機硫黄と鉄により構成される無機補因子であり、複雑な鉄硫黄クラスター生合成マシナリーによって細胞内で生合成される。現在までに3種類(NIF, ISC, SUF)の鉄硫黄クラスター生合成マシナリーが知られているが、我々は近年見つかったグラム陽性菌に見られる生合成マシナリーである「SUF-likeマシナリー」の鉄硫黄クラスター生合成機構に注目し、研究を進めてきた。SUF-likeマシナリーの構成成分の1つであり、SUF-likeマシナリーの硫黄供給経路を担うとされるSufUは、硫黄活性化酵素SufSから無機硫黄を受け取り、鉄硫黄クラスター生合成酵素複合体SufBCDへと硫黄を運ぶ役割を担うと考えられているが、その詳細な分子メカニズムは未だ明らかとされていない。そこで、SufUの生化学的解析、X線結晶構造解析により、SufUの硫黄運搬の分子メカニズムの解明を試みた。 生化学解析では、システインから硫黄を活性化、抽出する酵素SufSと、SufU、および、基質L-システインを混合し、反応系における無機硫黄生成をメチレンブルー評価法によりモニターすることで活性測定をおこなった。またSufUの亜鉛周辺の変異型タンパク質についても、同様の実験を行い、SufUの構造-機能相関を調べた。X線結晶構造解析によっても、これら変異導入したアミノ酸のいくつかと、無機硫黄との特異的な相互作用を観測した。 現在これらのデータを統合し、SufUが硫黄を運搬する際の詳細な分子メカニズムを検討中である。また並行して、遺伝学的解析によるSufU変異型のin vivo機能解析にも取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の結果により、鉄硫黄クラスター生合成系SUF-likeマシナリーのうち、硫黄供給系の生合成系タンパク質の構造・機能解析は完了した。よって、今後は鉄供給系および鉄と硫黄を集積する系の中間体の解析に集中して取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
鉄の供給系、および鉄硫黄クラスター合成の反応中間体のX線結晶構造解析には、その鍵となる酵素複合体の簡便な精製、結晶化を行う系の構築が急務である。現在、各種アフィニティークロマトグラフィーを利用した系を並行して構築中であり、どの発現系、精製系が、結晶化に適した質・量のタンパク質試料を得られるかを検討するとともに、結晶化条件の網羅的なスクリーニングを行う予定である。
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