2017 Fiscal Year Research-status Report
オリゴDNAを用いたタンパク質発現を促進させる新手法の開発
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17K14513
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| Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
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Principal Investigator |
渡邉 貴嘉 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (70554020)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | タンパク質 / オリゴDNA / RNAの高次構造 / 翻訳促進 / バイオ医薬品 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、mRNAの高次構造を形成する領域に相補的なオリゴDNAをハイブリダイズさせることで、mRNAの局所的な高次構造を解消させ、タンパク質の翻訳を促進させる新規手法の開発を目指して研究を進めている。
平成29年度は、オリゴDNAを用いてmRNAの高次構造を解消させることが翻訳効率の促進に寄与するか検証した。まずは、オリゴDNAをハイブリダイズさせることで翻訳促進が確認されているmRNA中の高次構造形成領域を、高次構造を形成することが知られている他の塩基配列に置換したmRNAを複数作製した。そして、mRNA中の高次構造領域にオリゴDNAをハイブリダイズさせ、無細胞翻訳系で翻訳を行った。この際、N末端領域にアンバーサプレッション法を用いて蛍光標識非天然アミノ酸を導入し翻訳産物の発現量を蛍光強度で定量したところ、新たに作製したmRNAにおいては予想される翻訳促進効果が得られなかった。そこで、翻訳促進が確認されているmRNAの高次構造領域以外の塩基配列に変異を導入し同様の実験を行ったところ、高次構造配列が他の塩基配列と相互作用することで翻訳効率が低下し、高次構造領域に相補的なオリゴDNAをハイブリダイズさせることで翻訳効率が向上することが確認された。さらに、翻訳産物を質量分析で解析したところ、mRNAのみでは途中で翻訳が停止した断片ペプチドが主に得られ、オリゴDNAをハイブリダイズさせることで完全長の翻訳産物が主に得られることが確認された。これらの結果から、オリゴDNAを作用させてmRNA中の高次構造を解消することで、翻訳を促進させることが可能であることを実証した。
また、翻訳促進効果を示す塩基配列の探索を継続して進めたところ、mRNAにオリゴを作用させることで翻訳効率の向上に影響を与えると考えられる新たな塩基配列を見いだした。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オリゴDNAを作用させることでmRNA中の高次構造を解消して翻訳促進させることが可能であることを実証し、質量分析を用いることで翻訳促進効果の作用部位およびメカニズムについて新たな知見が得られている。さらに、翻訳効率に影響を与えると考えられる新たな塩基配列を見いだせたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
引き続き、オリゴDNAをハイブリダイズさせることで翻訳促進効果が得られる塩基配列の探索および翻訳促進のメカニズムについて研究を進める。その後、オリゴDNAを用いた翻訳促進技術を、実際にタンパク質の翻訳促進に適用することを試みる。まず、緑色蛍光タンパク質（GFP）を用いて、実際のタンパク質における翻訳促進効果を検証する。その際、発現した蛍光性GFP量とともに、フォールディングしていない非蛍光性GFPを含めた全GFP発現量を定量し、mRNAの高次構造の解消がフォールディングに与える影響も評価する。さらに、GFP以外のタンパク質を用いて同様の実験を行うことで、オリゴDNAを用いたタンパク質翻訳促進技術の汎用性を検証するとともに、細胞内におけるタンパク質発現への適用可能性についても検討する。
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| Causes of Carryover |
試薬の使用量が当初の見込みより少なく、さらに使用する消耗品や遺伝子などの受託合成の見直しにより費用を抑えられたため、物品費に差額が生じた。旅費は所属機関の経費を利用したため使用しなかった。人件費・謝金は、本年度は研究代表者のみで研究を遂行したため使用しなかった。
平成30年度は、遺伝子工学実験、タンパク質発現、細胞培養等で必要な試薬や遺伝子などの受託合成のための物品費、学会発表のための旅費、所属研究室の学生の実験補助に対する謝金、論文発表のための英文校閲・論文掲載費に充てる。
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Research Products
(3 results)
