2018 Fiscal Year Research-status Report
Construction of photocatalysis system to be able to convert solar energy to hydrogen and electricity
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17K14528
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
三石 雄悟 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (70645879)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 太陽光エネルギー変換 / 光触媒 / 水分解反応 / レドックスフロー電池 / 放電反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
光触媒による水分解反応は、太陽の光エネルギーから水素エネルギーを獲得する手段として広く研究されている。本事業では、新規な太陽エネルギー変換貯蔵システムとして、貯蔵電力を同時獲得可能な水分解反応系の構築を目指した取り組みを行う。 2018年度は、2017年度に実証した、本提案手法に利用可能な2種類の光触媒反応およびレドックスフロー電池の原理を利用した放電反応をNafion膜で仕切った2室セルを発生ガスの分析が可能な閉鎖循環型のバッチ装置に接続した反応システムを用いて同時に進行させた。その結果、系内に投入したレドックスの物質量を大きく超えても定常的に反応が進行できることを実証した。反応初期の太陽光エネルギー変換効率は0.05%程度と見積もられた。反応を長時間進行させると、反応活性が徐々に低下した後に定常状態に落ち着く挙動が見られた。これは反応初期の光触媒反応の反応速度に対して、放電反応の反応速度が遅いため、レドックスの組成が充電された状態へシフトしてから定常状態に達したためであった。以上の結果より、効率良く放電反応を進行させる手法の開発が重要であることがわかった。 レドックスの濃度依存を評価した結果、濃い濃度条件の場合には、水素発生側および酸素発生側共に、充電反応に当たる光触媒反応が100%レドックスを転換する前に失活してしまった。これは、放電反応に当たる逆反応が光触媒上で競争的に起こってしまい、レドックスの濃度が濃くなるにつれてその望まれない逆反応の反応速度が上昇してしまうためであった。このことから、逆反応を抑制するための手法開発が重要であることがわかった。 昨年度実証した組み合わせ以外のレドックスの適用可能性を評価した。Co錯体に関しては、昨年度検討したビピリジン錯体だけでなく、フェナントロリン錯体およびターピリジン錯体を用いた場合にも同様に反応が進行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、おおむね研究計画書の予定通りに研究を進められており、貯蔵電力を同時獲得可能な新規水分解反応系を定常的に駆動させることが可能であることを実証するところまでたどり着いた。さらに、今後の課題も明確化できた。 候補となるレドックスや水素生成用の光触媒の候補が限られている点に関しても、新規材料の適用が可能であることを明らかにした。 これらの結果が得られていることから、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度には、提案手法が定常的に駆動可能であることを実証できた。これより2019年度は、本提案手法を運用するうえで改善が必要な課題について取り組む。具体的には、放電反応が律速となっていることからPEM型の反応セルを用いて放電反応がどこまで改善できるかを評価する。望まれない逆反応を抑制するために、光触媒の表面処理に取り組み。 また、候補となるレドックスや水素生成用の光触媒の候補が限られている点に関しても、引き続き、新規材料の開発を進めていく。
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Causes of Carryover |
2018年度に購入予定であった評価装置の消耗品の寿命が予想より長かったため。そのため残額は該当する評価装置の消耗品購入に充て、2019年度適正に運用する予定である。
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Research Products
(4 results)