2017 Fiscal Year Research-status Report
疑二次元構造の結晶配向性制御による高耐久性ペロブスカイト太陽電池の開発
Project/Area Number |
17K14533
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
實平 義隆 桐蔭横浜大学, 工学研究科, 研究員 (10751373)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ペロブスカイト太陽電池 / 酸化チタンナノワイヤアレイ / 結晶配向性 / ナノ構造制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
ペロブスカイト太陽電池の耐久性向上を目的として、疎水性の高いアルキルアンモニウムを有機無機ハイブリッドペロブスカイトのAサイトカチオンへ適用する研究が行われている。しかし、長鎖アルキル基を用いるとヨウ化鉛層の層状化により二次元結晶となり、光誘起電荷の移動がこの層状構造に沿った方向に制限されるため、スピンコート製膜した場合には電荷取出し効率が低下する傾向にある。そこで本課題では、光吸収層内における二次元ペロブスカイトの結晶配向性を、下地となる金属酸化物半導体の電子輸送層のナノ構造によって制御することで発電効率の向上を試みた。 酸化チタンナノワイヤが垂直配列したナノワイヤアレイを水熱反応法により合成し、電子輸送層として適用した。調製条件の最適化により、個々のワイヤが直径20-30nm、長さ200-400nmとなる膜を作製した。この基板上で二次元ペロブスカイトとなるブチルアンモニウムヨウ素-ヨウ化鉛溶液の製膜条件を変化させると、二次元結晶が水平、ランダム、垂直方向に成長し、それぞれ結晶配向性の異なるペロブスカイト膜を作り分けることができた。太陽電池特性の評価では、水平配向膜に比べて、垂直配向膜の光電変換効率が大きく向上した。これにより、下地のナノ構造制御によりその上の二次元ペロブスカイト層中の結晶配向性を変化させ、太陽電池特性が改善されることが示された。 また、ナノワイヤアレイのシード層となる酸化チタン緻密層の調製条件の検討において、前駆体膜を125℃の飽和水蒸気雰囲気下で熱処理すると、低温であるにも関わらず、500℃で高温焼成した場合と同等に高い結晶性を示すことを新たに見出した。さらにこの方法を応用すると、緻密膜と多孔膜の積層構造を一段階の熱処理で作製可能であり、ペロブスカイト太陽電池としたときに通常の焼成法により作製した酸化チタン膜よりも高い光電変換効率を示すことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化チタンナノワイヤアレイの調製条件の検討、ブチルアンモニウムヨウ素をAサイトカチオンとする二次元ペロブスカイトの調製と結晶配向性の制御について検討を行い、これらがペロブスカイト太陽電池の変換特性への影響について明らかにすることができたため、初年度の目標として設定した内容を達成したと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
疎水性を有する長鎖アルキルカチオンと他のカチオン種との複合化により擬二次元系ペロブスカイトとし、光吸収域を長波長化や高電圧化により光電変換効率を向上させた材料について検討する。この光吸収層についてナノ構造による疑二次元ペロブスカイト材料の結晶配向性の制御を適用し、太陽電池特性の向上を図る。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた耐候性試験のための調温調湿装置が大型であり、排熱等の問題もあるため設置場所が確保できずにいた。また、同時期に研究室の別枠予算でこれに準じた装置を購入することとなったため、購入予定を変更した。 繰り越した金額は、TEMやXPSなどの装置を使用した分析を外注するための費用とし、効率的な材料開発を行っていく予定である。
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