2017 Fiscal Year Research-status Report
非晶質を介する新奇充放電機構を有するナトリウム二次電池用金属硫化物材料の創製
Project/Area Number |
17K14547
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
作田 敦 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30635321)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 二次電池 / 全固体電池 / 電極活物質 / ナトリウム / 硫化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
全固体ナトリウム二次電池は、高安全・低コストな次世代の大型二次電池として期待されている。実用化の課題の一つとして、高エネルギー密度の電極材料の開発が挙げられる。研究代表者はこれまでに、リチウム二次電池用の金属多硫化物系電極材料を開発してきた。開発した金属多硫化物系電極材料においては、硫黄の酸化還元、遷移金属の配位数変化、非晶質/結晶間の可逆構造相転移などを含む新奇な充放電機構を有することを明らかにしてきた。本研究においては、これらの知見のナトリウム二次電池への展開を目指し、新物質の開拓から検討を始めた。 初年度はNa2TiS3の組成に着目し、新物質を探索した。Na2SとTiS2を1 : 1のモル比で混合した後、500℃での固相反応、溶融急冷、遊星型ボールミル装置を用いたメカノケミカル合成の3種類の手法を用いてNa2TiS3組成の化合物を合成した。固相法で合成した場合、ナトリウムが八面体サイトを占有するNa2TiS3が得られることが分かった。溶融急冷法によって合成した場合、ナトリウムが三角柱サイトを占有する新結晶相のNa2TiS3が得られることが分かった。この新結晶相はNa2TiS3の高温相であると考えられる。さらに、メカノケミカル法を用いた場合は非晶質Na2TiS3が得られた。得られた3種のNa2TiS3を用いてナトリウム全固体セルを作製し、電極特性の評価を行った結果、すべての材料において、室温で可逆的に作動することが分かった。急冷法で作製したNa2TiS3では、理論容量の280 mAh g-1での可逆充放電が確認された。急冷法で作製したNaA2TiS3が最も高い導電率を示すことが、高い電極性能の要因であると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Na2TiS3の新規結晶相の開発し、全固体電池用高容量電極活物質としての高いポテンシャルを見出したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
Na2TiS3の高温相、低温相、非晶質相のキャラクタリゼーションを進める。それぞれの物質の結晶構造解析を始めとする構造解析、電解液を用いたセル及び全固体セルでの電極特性の評価、充放電時の構造変化の評価を進める。大容量発現のメカニズムの解明を目指す。さらに、非晶質相のポストアニール、Na-Ti-S系の組成探索や中心金属の変更を行うことで新物質の探索も続ける。
|
Causes of Carryover |
予算執行率は86%であり、おおよそ当初の予定通りの予算執行を行った。人件費・謝金に10万円計上していたが、使用する必要が生じなかった。
|