2018 Fiscal Year Research-status Report
六軸ランダム振動を受ける材料の疲労損傷メカニズムの解明と評価試験法の構築
Project/Area Number |
17K14556
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坂本 惇司 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (50752052)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 疲労損傷 / 多軸ランダム振動 / 共振 / アルミニウム合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多軸ランダム振動を受ける機械、構造物を安全かつ有効に使用することを目指し、多軸ランダム振動を受ける材料の疲労損傷メカニズム解明および評価試験法の構築を目的としている。 初年度は、アルミニウム合金A5056を供試材としたボタンヘッド型試験片を用いて10 Grmsから70 Grmsまでの異なる重力加速度の多軸ランダム振動試験を実施した。その結果、多軸ランダム振動を受ける材料であっても一軸方向の負荷によって疲労破壊が起こる可能性や修正マイナー則を用いた疲労寿命の評価の可能性を示した。 本年度は、初年度と同様の供試材であるアルミニウム合金A5056において、異なる形状のY字型試験片を用いて10 Grmsから70 Grmsまでの異なる重力加速度の多軸ランダム振動試験を実施した。振動試験中には、破壊起点と予想される部分の力学場を測定するため、3軸ひずみゲージを用いて測定した。その結果、主応力の大きさ、方向、負荷周波数を明らかにした。具体的には、多軸ランダム振動を受ける材料であっても一つの振動モードが支配的であり、主応力の方向および負荷周波数はほぼ一定であり、主応力の大きさは分布をもつことが分かった。また、主応力の方向と負荷周波数は重力加速度によらずほぼ一定であり、主応力の大きさは重力加速度によって増加した。これは、初年度の実験結果と同様の傾向であり、上記の結果は、材料の形状にあまり依存しない可能性が示唆された。さらに、この結果を基に、疲労寿命の評価方法について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、大きく分類すると、(1)疲労現象を支配する力学場の測定、(2)疲労寿命の予測方法の提案とその妥当性の検証、を行う予定であった。 (1)については、3軸ひずみゲージを用いて、ひずみ場を測定することに成功し、完了した。 (2)については、疲労寿命の予測方法については検討したが、その妥当性の検証についてはまだ終わっていない。これは、本年度の途中で研究機関を異動したことにより、新たな研究環境を整えるのに時間がかかったためである。以上の進捗状況および理由から、研究はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、本年度終わらなかった「疲労寿命の予測方法の妥当性の検証」を早急に終え、「六軸ランダム振動を受ける材料の疲労寿命の評価試験法の検討」を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度の途中で研究機関を異動したことにより、新たな研究環境を整えるのに時間がかかり,研究がやや遅れている。そのため、本年度に計上していた予算(試験片の材料費、加工費)を次年度に繰り越すことになった。 次年度の早期に使用予定である。
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