2017 Fiscal Year Research-status Report
薄板構造における非線形三波相互作用の解明と新しい超音波非破壊評価原理への展開
Project/Area Number |
17K14557
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
石井 陽介 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70781706)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 三波相互作用 / 板波 / 材料非線形性 / 摂動解析 / 動的有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
超音波非線形三波相互作用を用いた薄板構造の高感度非破壊評価法の確立を目的として,本年度の研究では,理論解析,数値解析,実験系の構築を実施した. 理論解析では,材料非線形性を有する等方性弾性平板中を二つの板波(基本波)が任意の方向に伝搬する状況を考え,それらの非線形相互作用により発生する和・差周波数成分(第三波)を摂動法により導出した.そして,基本波の波数ベクトルの和もしくは差が第三波の波数ベクトルと等しくなるような角度で基本波を交差させると第三波の振幅が伝搬距離とともに線形的に増大すること(共鳴条件)を示した.これらの結果を論文にまとめ,海外論文誌Journal of Sound and Vibrationに投稿し掲載された. 上記の理論解析では,板波の三波相互作用に関する基礎研究として基本波が無限幅を有する連続波(単一波数および単一周波数)であることを仮定していた.一方で,現実の非破壊検査では有限のビーム幅や時間幅を有する超音波を使用するため,そういった状況でも三波相互作用が生じるのか検討する必要がある.そこで,自作の三次元動的有限要素解析プログラムを用いて非線形超音波伝搬シミュレーションを実施した.その結果,基本波が有限なビーム幅および時間幅を有している場合でも上記の共鳴条件を満たすような角度で基本波を交差させると第三波が大きく発生することがわかった. 理論解析や数値解析の結果より,実験においても共鳴条件を満たすように基本波を交差させれば第三波が測定できると期待される.そこで,本年度は板波の三波相互作用を測定可能な実験系の構築を行った.そして予備実験として,アルミニウム合金ブロック中におけるバルク波の三波相互作用の測定を行い,二つの横波の相互作用によって生じる和周波数の縦波を測定することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は,理論解析と数値シミュレーションにより板波の非線形三波相互作用が起こる条件(共鳴条件)を導出する計画であったが,これが予定通り達成できた.また,当初計画していた実験系の構築も計画通り進捗し,本年度の計画にはなかった予備実験も行うことができた.したがって,研究全体を通して当初の計画以上に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,本年度に行った数値シミュレーションの結果を論文にまとめ,海外論文誌に投稿する予定である.また,本年度に実験系の構築および予備実験が実施できたため,来年度は板波の三波相互作用の測定実験を行う.本年度の予備実験で,健全なアルミニウム合金ブロック中で発生する第三波は試験片の型番や調質記号によって大きく異なることが明らかとなった.そこで,その中でも最も第三波の振幅が大きかったもの(第三波が測定しやすいもの)と同じ型番の薄板に対して実験を行い,第三波が観測できるかどうか検討する.
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