2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K14566
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
名越 貴志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (40769668)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 微小疲労試験 / 繰り返し応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は試験機の改修及び、微小疲労試験検証のための単結晶ニッケルの疲労損傷の影響を検討する予定であった。問題であった、疲労試験を可能とするソフトウェアの開発については他の研究機関との共同研究という形で調達することができ、予定したものよりも高性能なソフトウェアの開発が可能となった。本ソフトウェアを用いることによってこれまでは変位と荷重のアナログ入力がクロストークを起こしているとおぼしき現象が回避できるとともに、変位をより自由に入力することでひずみ急変試験や両振り疲労試験などに対応することが可能となった。さらに、ソフトウェアはラボビューベースのシステムで、ソースファイルも所持しているため、今後の試験機改修に当たっても柔軟にソフトウェアの修正を行うことができ、冗長性がより高まった。 疲労試験の実証として予定していたニッケル単結晶については、計画を前倒しし、チタンで行うこととした。チタンについて繰り返し引っ張り、圧縮を加え、その都度試験片表面の観察を行った結果、塑性変形によって生じる滑り帯が増加していく様が観察できており、引っ張り圧縮に伴う変形の様子の観察に成功したといえる。試験片作成に時間を要したため、数多くの試験は行えなかったが、今年度レーザー粗加工による作成時間の短縮を検証し、FIBのみの加工だとこれまで2週間程度必要としていたものを1週間以下に抑えることができるとともにFIBの利用時間も短縮することに成功した。これにより、今後の研究はより加速することができると考えられ、今後の進捗に期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標であった、試験機の改修は順調に推移している。疲労試験の実証としてのニッケル単結晶試験は不実施としたが、前倒ししてチタン材料の微小繰り返し応力試験を行ったことで繰り返し応力による塑性変形の進展が確認できた。さらに今年度は試料作成手法を見直すことでこれまで3週間程度必要としていた試験片作成期間を大幅に縮小することに成功している。これによって今後の研究開発活動の加速が期待でき、これら成果から、当該研究課題は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究において、繰り返し応力中の塑性変形による試験片表面の変化が疲労の進展をよく表しており、これを試験中に観察することが非常に有効であることが示された。このことから、試験中の試験片表面を直接観察することが重要であり、これを実現するためにSEM内での疲労試験の実施が有効である。これを実現することは予算的、時間的に容易なことではないが、副目標として取り組んでいきたいと考えている。 また、近年の研究では、電子線に反応し硬化する接着剤を用いた疲労試験などが実施されており、SEM内での試験が可能となればこの方法での疲労試験の実施も可能となる。これまでの研究からも繰り返し応力によるアライメントの変化が大きな不確定要素であることが明らかになっており、これを回避するためにも、SEM内試験の実現は有効である。従来提案の方法と平行して取り組むことによって研究を円滑に遂行していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
前年度ソフトウェアの導入を行ったが、このソフトウェアの支出は別予算でまかなうことができた。また、このソフトウェアの特性に合わせた機器構成へ変更するために次年度へ予算が必要となった。これらの予算を用いて試験機のさらなる改良を行っていくとともに、得られた成果を国内外の学会にて発表を行う予定である。
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