2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of crystal orientation control method by shear strain and heat treatment
Project/Area Number |
17K14567
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
寺野 元規 岡山理科大学, 工学部, 講師 (90708554)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 機械工作・生産工学 / 金属生産工学 / 結晶工学 / 精密部品加工 / 構造・機能材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は「せん断ひずみと熱処理による結晶組織制御技術の確立」を目指し、バニシング加工もしくは圧延を用いてせん断ひずみを付与し、熱処理と組み合わせることにより結晶組織を制御する技術の開発を目指した。また、昨年度実施できなかったSEM-EBSDによる結晶方位分析により集合組織の有無や結晶方位について詳細に調べた。具体的には、S25C丸棒材に旋盤を用いて、ローラーバニシング加工し、丸棒表層のみにせん断ひずみを導入した。その後、残留応力と表面粗さを測定した。また、同一加工条件の試験片に対し、700℃でそれぞれ1~100分の熱処理を行い、静的再結晶過程の時系列を実施した。また、SEM-EBSDによる結晶方位分析も同時に実施した。 残留応力測定結果より、バニシング加工前(外径切削後)は引張の残留応力であったものが、バニシング加工により圧縮の残留応力になっており、約300 MPa程度の圧縮の残留応力が付与された。表面粗さ測定結果も踏まえて考察すると、丸棒表面から加工硬化し,ある程度加工硬化する(残留応力が飽和し,表面粗さが幾何学的に最小になった状態になる)と,表面よりも未加工硬化部である内部で変形が起こると推察できる。これにより,加工ひずみの導入深さが深くなったと考える。また、SEM-EBSDによる結晶方位分析を行った結果、現状の1回の熱処理では結晶方位を制御することは困難であるが、結晶粒径の制御は可能といえる。さらに、せん断ひずみを加える方法として、バニシング加工以外に圧延による方法も検討した。その結果、一昨年度実施した二次元切削の結果と比較すると、熱処理後の静的再結晶組織は、二次元切削の結果では等方的な組織になっているのに対し、圧延では不均一となっていた。これは、二次元切削では比較的均一なひずみ分布であるのに対し、圧延ではひずみ分布が強く、組織が不均一となったと考察できる。
|