2018 Fiscal Year Research-status Report
VattiクリッピングとB+木を用いたニアリアルタイム切削シミュレータの開発
Project/Area Number |
17K14568
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高杉 敬吾 金沢大学, 機械工学系, 助教 (80710235)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 切削シミュレータ / Vattiクリッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では,前年度に引き続きニアリアルタイム切削シミュレータの開発を継続して実施した.本申請課題が提案する切削シミュレータでの形状表現は,従来のボクセル形とは異なるポリゴンをベースとすることから,ボクセルと比べメモリー消費量を圧倒的に抑えられ,かつCG分野で用いられているポリゴン間の高速なブール演算手法を用いることが出来,非常に高速なシミュレーションが可能となる.ただし欠点としては,そのブール演算アルゴリズムが非常に複雑にならざるを得ない点であるが,その欠点をして余る利点がある. 前年度から今年度にかけて,本手法の基幹となるVattiクリッピングアルゴリズムと,切削シミュレータに最適なデータ構造アルゴリズムとしてB+木の実装を行ってきた.ここで,検討してきた中で当初の計画とは異なる方向性が見えてきた.まず,B+木は本手法に適用する必要がないという結論に至った.B+木はそもそも膨大な情報の中から指定した情報とそれに関連する情報といった,ある範囲を持った情報のサーチに有効なデータ構造であるが,本研究課題においては,それほど膨大なメモリーを占有しないというメリットを活用でき,B+木を構築するほどのコストをかけずとも,単純な配列によるデータ保持を工夫するのみで良いことが分かった.次に,Vattiクリッピングであるが,元々のVattiクリッピングは直線で構成された多角形同士の高速ブール演算アルゴリズムであるが,本用途では,工作物と回転工具を想定しおり,工作物は多角形表現で問題無いが,工具は工具軸上から見れば円形であることから,Vattiクリッピングを直線-円弧間で適用出来るよう改良を加えた,改良型Vattiクリッピングを開発した.これにり,開発期間は想定したいよりも後ろ倒しとなったものの,高速性の観点からは非常に有効であることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では,本年度中に切削シミュレータの開発を一段落し,その評価フェーズへと移行する予定であったが,Vattiクリッピングを円弧に対応させるための改良が加わり,進捗はやや遅れている.現時点ではその改良は終わり,最終年度には予定通り実加工を通した評価が可能であると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では,改良型Vattiクリッピングによる2次元でのブール演算の実装までが完了している.今後は,まず3次元化をはかる.3次元化には既存のアルゴリズムであるZ-Mapを用いることを予定しており,それほど研究計画遂行上の予期せぬ足止めは無いと思われる.3次元化の完了を持って,提案する切削シミュレータの開発は一段落する.その後,高速性,有用性を実加工を通して検証し,本研究課題を総括した.
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Research Products
(1 results)