2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14569
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小谷野 智広 金沢大学, 機械工学系, 助教 (20707591)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 電解加工 / ポーラス電極 / Additive Manufacturing / 粉末床溶融結合法 / 空孔 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,電解加工用電極の一部にポーラス形状を付与し,ポーラス部位の空孔(直径数十μmから百μm程度)を通して電極間へ電解液を供給する新しい電極を,金属粉末付加製造法(金属AM)の一種である粉末床溶融結合法を用いて開発する. 本研究では,外径7.5mm,ポーラス部直径5mmの円柱状電極を製作した.ポーラス部はレーザ走査速度を速くすることで焼結密度を低くし,走査速度を2000mm/sから4000mm/sまで変化させ,空孔の大きさと空孔率を変化させた.その結果,走査速度が速い方が,一つ一つの空孔のサイズが小さくなり,空孔率が高くなった.また,空孔率が高い電極ほど大きな電解液流量が得られた.これらの電極を用いて電解加工した結果,空孔が大きい2000mm/sのポーラス電極での加工穴底面には100μm程度の突起が形成されてしまったが,空孔の小さい4000mm/sでは加工穴底面に大きな突起は形成されず,おおよそ平坦な加工面が得られた.従って,平坦な加工面を得るためにはポーラス部の空孔は小さいほど良い.また,工具電極の送り速度を増加させると電流密度が増加し,加工速度が増加するが,生成物などの排出のために大きな電解液流量が必要になると考えられる.そこで,電解液流量と送り速度を変化させ,各電解液流量で加工可能な最大の送り速度を調査した.その結果,流量が増加するに従って,加工可能な最大の送り速度が増加した.前述したように,レーザ走査速度が大きい条件で製作したポーラス電極ほど大きな流量が得られたため,大きな加工速度を得るという点においても,レーザ走査速度の大きな条件で製作した電極の方が優れている.一方で,加工穴底面にはポーラス部から電極外周に向かう筋状の凹凸がわずかではあるが生じた.これは,ポーラス部の空孔が不均一に分布していることにより,電解液の流速が場所によって異なるためと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポーラス部の造形条件を変化させ,空孔の大きさや空孔率を変化させた結果,空孔が微小なほど,それが工作物に転写されることなく平坦な加工穴底面が得られるという結果が得られた.また,空孔率の高い電極ほど大きな電解液流量が得られ,加工速度を増加させることができた.従って,良好な加工面と大きな加工速度を得るためには,空孔が小さく,かつ空孔率の高い造形条件が適しているということが明らかとなり,電極造形条件の検討とその電解加工特性の調査という今年度の目標が達成された.一方で,空孔から供給される電解液の流速差により,加工面に凹凸が生じてしまうことが明らかとなり,その対応策が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
加工面に生じた筋状の凹凸は,ポーラス部から供給される電解液流速の不均一によるものと考えられるので,流体解析によりポーラス部の空孔から供給される電解液流れ場を明らかにし,ポーラス部の空孔の大きさや分布が流れ場に与える影響を検討する.一方で,加工中に電極をジャンプ動作させる場合,電極のジャンプ方向の位置によって電解液流速が変化するが,流速変化が小さくなる電極位置においてパルス電圧を印可すれば,流速の差に起因する凹凸が減少すると考えられるので,電極のジャンプ動作と印可するパルス電圧条件の最適化を図る.また,電極の造形条件をさらに検討し,微小な空孔が均一に分布し,かつ空孔率の高いポーラスが得られる造形条件を明らかにすることで,流速の差に起因する凹凸の低減を図る.これらの最適化の後に,大面積かつ複雑形状加工への適用を図る.
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Research Products
(3 results)