2017 Fiscal Year Research-status Report
混合凝縮性ガスを導入する光ナノインプリント技術の開発
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17K14575
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 健太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (60709509)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ナノインプリント / 凝縮性ガス / 飽和蒸気圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
光ナノインプリントは最先端リソグラフィへの応用が検討されており、更なるプロセスの高速化や低欠陥化が求められている。HFC系凝縮性ガスを導入するナノインプリント手法は、バブル欠陥の完全除去以外にも樹脂の高速充填やモールドの低離型力といった大きな利点がある一方で、ガスをナノインプリント用の樹脂が吸収してしまうのに起因したパターンの品質の低下が課題とされていた。そこで本研究では、これまでと飽和蒸気圧の異なるハイドロフルオロオレフィン(HFO)系の凝縮性ガスを導入する手法の検討を行い、ガスの吸収量の調査とパターン品質の評価を行う。今年度は真空グローブボックスを用いて、HFC系凝縮性ガス[1,1,1,3,3,-ペンタフルオロプロパン(PFP) 飽和蒸気圧0.15MPa]とHFO系凝縮性ガス[トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(TFP)飽和蒸気圧0.5MPa]の雰囲気下において、25種類の溶剤の溶解量を測定し、ガスの吸収量の傾向の調査を行った。小型容器に3mgの各溶剤を封入し、グローブボックス内をガス雰囲気に置換した後に、10分間ガスに暴露し、その時の吸収量の変化を、電子天秤を使用して質量分析した。PFP、TFPのどちらのガスも14種類への溶剤の吸収を確認し、その中でもAceton, Dimethyl formamide, Tetrahydrofuranの3種類の溶剤に対しての吸収量が多いことがわかった。溶解する溶剤の種類はPFPとTFPで同じ傾向を示していたが、PFPガスの溶解量はTFPガスに比べて約5倍多かった。このことは、PFPガスとTFPガスの飽和蒸気圧の違いが溶解量の違いに起因していると考えられ、TFPガスを用いた場合にはどのような樹脂を用いた場合にもPFPに比べて高品質なパターンが得られることができると推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
溶剤や樹脂へのガス吸収量に関する評価システムを確立し、高品質なパターンを得るためのUVナノインプリント用の樹脂の評価を進める準備が整った。このことから研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
20nm幅のラインパターンのモールドを用いて、ガス吸収量の評価において高品質なパターンが得られると想定される樹脂に対してUVナノインプリントを行う。パターンの評価には原子間力顕微鏡(AFM)、と電子顕微鏡(FE-SEM)を使用し、表面粗さとラインプロファイルを評価する。また、ナノインプリントの性能評価として、装置に搭載されたロードセルを用いて離型力を、モールド上面からの顕微鏡システムを用いて樹脂の充填挙動・時間を評価する。
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Causes of Carryover |
当初は樹脂に対するガスの吸収量の評価はFTIRを使用する予定であったが、より実効的に評価ができる真空グローブボックスと電子天秤による質量分析によって行うことにより、費用が抑えられた。しかし、来年度はナノインプリント全般の評価を行うため、離型力や樹脂の充填評価を行う上で、評価システムの構築に当初よりも多くの経費が必要となると考えられる。
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