2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of control method of structures in turbulent boundary layer using artificial void wave
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17K14583
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
PARK HYUNJIN 北海道大学, 工学研究院, 助教 (00793671)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 抵抗低減 / ボイド波 / 乱流境界層 |
Outline of Annual Research Achievements |
乱流境界層に気泡を注入し,壁面摩擦抵抗を低減させる手法があるが,効率の問題で未だ実用化されてない.そこで,人工的なボイド波を境界層に与える事で気泡クラスター生成を活性化し,抵抗低減効率が向上される方法が提案された.しかし,人工ボイド波を船舶の抵抗低減手法として実用・商用化するためには,クラスターの生成メカニズムやボイド波の下流持続性などを明確にする必要がある.平成29年度にはボイド波の下流持続性を調べるために,矩形チャネルと模型船を用いて二つの実験を行った. 【1.チャネル実験】 当研究室が保有している10mの水平矩形チャネルに一定周波数(2Hz)のボイド波を与えて,チャネルの流れ方向の三箇所でボイド率の時間変化を計測し,ボイド波の減衰過程を調べた.ボイド波は移流に伴い波形の変形とボイド率の平滑化が同時に生じる.特定の位相において,位相平均した波形が初期に与えた波形と比べ,大きく変形していることが明らかになった.またこの位相で,位相平均における分散が大きく,流下距離に応じて大きな分散をもつ特定の位相が位相空間全体へと広がる.この実験により,気泡クラスターの崩壊はランダムな現象ではなく,特定の原因により生じることが示唆された. 【2.模型船実験】 広島大学にある100mの曳航水槽に当研究室が保有している4mの模型船浮かせて,船底に一定周波数(2Hz, 8Hz, 12Hz)ボイド波の与えて,下流持続性を調べた.それにより,自然に形成されるボイド波の周波数(約8Hz)と同様な周波数を持つ8Hzの人工ボイド波の場合,ほとんど減衰せずに下流まで持続することが確認された.しかし,他の周波数の人工ボイド波は移流する過程で減衰する.長距離においてボイド波を維持する必要がある場合にはボイド波の自然周波数と同一な周波数でボイド波を生成する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の申請時には,気泡クラスターの発生メカニズムとボイド波遷移過程のモデリングを平成29年度にフランスのIMFTと共同で研究を進める予定であった.しかし,平成30年度に行う計画だった模型船による実験が,広島大学と当研究室の都合により,実験を一年前倒しして実行する必要があった.そのため,当初に計画した平成29年度の実験計画と平成30年度の実験計画の順番が大きく入れ替わることになった. 順番が入れ替わっているが,北海道大学でのチャネル実験と広島大学での模型船曳航実験により,ボイド波を長距離において維持するための制御法がある程度明確になった.これらの実験の結果を元に,平成29年度には当初平成29年度に実施予定だった研究を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には当初平成29年度に実施予定だった「気泡クラスターの発生メカニズム」と「ボイド波遷移過程のモデリング」について研究を行う予定である.この二つの研究テーマについては既に下記の準備を行っている. 【1.気泡クラスターの発生メカニズム】 乱流境界層内で自然に形成されるボイド波はこの気泡間の相互作用によるものだと推測している.気泡間の相互作用のみに注目するために,フランスIMFTでHele-Shaw cellを用いて研究を行う.すでにIMFTのRoig教授と相談し,10月から一ヶ月間滞在し,共同研究を進めることが決まっている.IMFTの研究グループは長年気泡-気泡,流れ-気泡の相互作用について実験・数値解析を用いて研究している.彼女らの協力により,気泡クラスターの発生メカニズムが解明できると期待している. 【2.ボイド波遷移過程のモデリング】 ボイド波遷移過程のモデルを作るためには,ボイド波の遷移過程を統計的に調べる必要がある.そこで,10mの水平矩形チャネルを用いて遷移過程を調べる.また,統計的調査以外にも,一つの波形が変形する過程にも注目する必要があるため,一つの波形を追跡することでラグランジュ的に観測することを試みる.既に波形を追跡するための,リニアスライダー装置を設計している.これらの二つの計測結果により,ボイド波遷移過程のモデリングを行う.
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Research Products
(18 results)