2018 Fiscal Year Research-status Report
流体と多孔質弾性体の連成解析による軟骨の変形と滲出が生体潤滑に与える影響の解明
Project/Area Number |
17K14586
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮内 優 東北大学, 流体科学研究所, 助教 (00758691)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 流体解析 / 多孔質弾性体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生体潤滑機構解明のために関節軟骨内外の流れおよび関節軟骨の変形を考慮した流体と多孔質弾性体の連成解析手法の開発を行い、生体軟骨の変形と滲出が骨端間の流体潤滑及び摩擦特性に与える影響を定量的に明らかにすることである。本年度は、流体と弾性体の連成コードを開発し、検証問題による開発したコードの妥当性の確認と解析に適した計算設定を調べた。 流体構造連成解析に対するベンチマーク問題としてTurek and Hronが提案した、2次元矩形流路中の弾性棒の流体励起振動の解析を利用した。流体解析には移動境界問題に対する流体解析法の一つであるArbitrary Lagrange-Eulerian法を実装し、弾性体には検証問題の設定に合わせるために流体に対して透過性を有さないSt.Venant-Kirchhoffモデルを使用した。流体と弾性体の連成は強連成とした。界面の移動に対する流体メッシュの制御法には線形弾性体の平衡方程式を使用した。線形弾性体の構成式に使用されるパラメータに対する解の収束性を調べ、メッシュの歪みが小さくかつ求解の反復回数が少ない値を調査した。その結果、構成式のパラメータをポアソン比に変換した場合に、ポアソン比が0.3程度の値で最も計算が安定し、求解の反復回数が少ないことがわかった。さらに、有限要素法による流体変数の離散化に関して、流速が双線形、圧力が一定のQ1Q0要素と流速、圧力がともに双線形のQ1Q1要素の2つを用いて、計算負荷と計算精度を比較した。このベンチマーク問題に対しては、Q1Q0要素で十分にTurek and Hronの数値解と近い結果を示し、Q1Q1要素の解析に比べ、計算負荷の観点で優位であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
生体軟骨部位における流動解析に着手できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
ウェッジ作用またはスクイーズ作用のみが生じる単純な計算設定とその解析を行い、多孔質媒体の流体透過性による潤滑効果と摩擦特性の影響を明らかにする。そして実形状の生体関節を模擬したモデルを作成し、生体潤滑機構に対して支配的な因子を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究の遅れにより、データ記録用メディアや並列化サービスを購入しなかったため、次年度使用額が生じた。次年度の研究の進捗状況に応じて、データ記録用メディア、並列化サービス、旅費、論文投稿料等に使用する。
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