2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K14588
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 雅樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (20550304)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 乱流モデル / 乱流制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
Kernel quantile regressionを用いて、平面クエット流の初期乱流での低次元力学系の構築を行ってきた。パラメータであるレイノルズ数を含めて力学系を構築し、現在論文を投稿中である。本研究は、力学系理論が予測するように、乱流であっても有限の自由度により流れの状態が決まっていることを確認し、機械学習のアルゴリズムの精度が低次元による流れ再現に耐えうることを実証できたことに意味がある。また、Dynamic Mode Decompositionによる流れの時空間モード分解法を応用し、チェネル流で観測される局在乱流バンドの動力学の解明を試みた。局在乱流バンドの下流端での規則的な運動と、上流側での不規則な運動の分解をすることで、乱れの発生を特定することが出来た。しかし、局在乱流バンドのように、並進対称性を有する空間を運動する場合、特定の位置での運動のみ訓練することになるので、訓練集合の不足が問題となった。対称性を組み込んだ最適化の必要性は他の手法でも重要視されており、Dynamic Mode Decompositionで対称性を組み入れる方法を考えることに繋げることができた。また、状態空間モデルの1つである隠れマルコフモデルを、ローレンツ系のカオス軌道の予測や、容器内の熱対流においてカオス的反転する循環方向の予測モデルに適応した。カオス軌道の初期値鋭敏性を確率過程で上手く表現できるかがポイントであったが、隠れ変数の自由度の増加に従って、隠れマルコフモデルモデルによる軌道は力学系の軌道を統計的に再現する結果を得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平面クエット流の初期乱流やチェネル流の局在乱流バンド等、低レイノルズ数の流れでは、kernel quantile regressionやdynamic mode decompositionを用いて低次元化することが出来ている。これらの進行は概ね順調である。これらの研究成果を応用し、高レイノルズ数の乱流に使える乱流モデルを、乱流のデータから導くことが可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終目的は、産業界で見られる発達乱流の数値計算に使える乱流モデルを、乱流のデータから導くことである。これまでは低レイノルズ数に限定してきたが、今後はこれまでの手法を応用し、乱流モデルの構築や乱流の予測・制御法の開発を行う予定である。 1つ目は、dynamic mode decomposition等による流れの低次元化を行い、特定のモードを制御することで、抵抗低減等の流れの効率化に繋げたい。また、この制御法を用いて不安定な不変集合の効率的な求め方も目指している。2つ目は、高レイノルズ数での乱流モデルの構築にあたって、適切なノイズを考慮することである。次元の呪いにより、決定論では高レイノルズ数乱流を完全に再現するモデルを構築することは不可能であると考えるため、実用に耐える範囲でランダムノイズの導入を検討する。具体的には、状態空間モデルの乱流への適応を試みる。
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Causes of Carryover |
大型計算機利用料を想定していたが、核融合研の大型計算機の公募が通ったので必要が無くなった。来年度の研究成果の発表のための旅費に割り当てる予定である。
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