2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14605
|
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
畠山 友行 富山県立大学, 工学部, 准教授 (60542363)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 接触熱抵抗 / 接触電気抵抗 / 電子 / フォノン / 熱輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、導体間の接触面における熱輸送現象を、ミクロ及びマクロな観点から考察し解明することを目的としている。導体内部の熱輸送は電子輸送によって行われる。一方で、半導体や絶縁体内部の熱輸送はフォノン輸送によって行われる。しかし、導体同士の接触面での熱輸送がいずれによって行われるかは明らかになっていない。そのため、導体同士を接触させ、接触面での接触熱抵抗と接触電気抵抗を計測し、両者を比較することにより接触面での熱輸送の支配因子が電子であるかフォノンであるかの仮説を立てる。2017年度は、定常法による熱抵抗計測装置を用いて導体同士の接触面に生じる熱抵抗を計測しながら、4端子法を用いて接触面での電気抵抗を同時に計測する設備を整え、工業用材料の接触熱抵抗及び接触電気抵抗の同時計測を行った。接触面における電気抵抗が非常に小さい値であるため、接触電気抵抗の計測制度に難がある状態ではあるが、概ね良好なデータを取得することができた。また、接触面での熱の流れを明らかにするために、接触面を模擬したモデルを作成しCFD(数値流体力学)解析及び熱回路解析を行い、物体表面の表面粗さに起因する凹凸によって熱の縮流が接触熱抵抗の大きな原因の一つになっていることを明らかにした。接触熱抵抗及び接触電気抵抗の絶対値の議論や、フォノンと電子の熱輸送へ寄与する割合にはまだ踏み込めていないが、接触面での熱輸送現象詳細及び熱輸送支配因子の特定のための準備ができたと言える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験は、予期せぬ問題が多数見つかったものの、最終的に当初の予定をこなすことができた。解析は、電子輸送を扱うシミュレーションコードの作成を予定していた。コードの作成を進めているが、困難な問題に直面したにより完成には至っていない。この点は、当初の予定から遅れている。しかし、実験を行っていくうえで電子輸送を扱うシミュレーション以外に、CFD解析でも多くのことが考察できる可能性が出てきたため、当初は予定していなかった接触面を模擬したモデルでのCFD解析を行った。さらに、熱輸送現象の詳細を考察するため、当初の予定にはなかった熱回路網法を用いた解析も行った。電子輸送を扱うコードの作成は遅れているが、予定になかったシミュレーションを多数行い、多くの考察ができたことから、全体として順調に進んでいると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験は順調に進んでおり、今後数種類の導体サンプルを計測する準備が整っている。実験を行っていくうえで、実験精度の向上にも成功しており、今後も実験において接触熱抵抗と接触電気抵抗の関係性の詳細を考察する。電子輸送を扱うシミュレーションコードの作成にあたり、困難な問題に直面しており、コードの完成にさらなる時間を要すると考えられる。そのため、自作コードによる現象の考察が十分に行うことができない可能性がある。また、さらなる深い考察のために予定していたモンテカルロ・シミュレーションコードの作成が十分にできない可能性がある。一方で、2017年度に行ったCFD解析及び熱回路解析では大きな成果を上げているため、CFD解析と熱回路解析を利用して現象の考察を行える可能性が見出されている。2018年度においては、実験、CFD解析及び熱回路解析の結果を用いた考察により、導体間の接触面における熱輸送現象の解明を中心とし、同時に電子輸送を扱うシミュレーションコードの作成にも力を入れる。
|
Causes of Carryover |
差額は443円と少額であるため、差額を調整する措置をとらなかった。少額であるため、2018年度の使用計画に変更はない。
|