2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14605
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
畠山 友行 富山県立大学, 工学部, 准教授 (60542363)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 接触熱抵抗 / 電子機器の熱問題 / 熱伝導 / 接触電気抵抗 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、導体間の接触面に発生する接触熱抵抗と電気抵抗の計測を行い、導体間の熱伝導現象を明らかにすることを目的としている。 接触熱抵抗の計測に関しては、昨年度から継続して計測を行っている。その結果から、接触面において、真実接触部に流れる熱の縮流が接触熱抵抗の大きな要因となっていることが明らかとなり、コンピュータを用いた熱伝導解析にて縮流の詳細を検証するため、接触面のモデル化手法の検証を行った。また、研究成果を実用化するためには、接触熱抵抗を簡易的に計算できる式の構築が求められる。過去に、橘・佐野川により簡易式が提案されており、原子力発電の分野での接触熱抵抗の予測に用いられてきた。本研究で対象とする電子機器は、原子力発電の分野より接触面の接触圧力が小さいことから、低接触圧力域での橘・佐野川の式の適用可能性を検証する必要性が生じる。2018年度の実験結果及び解析結果から、橘・佐野川の式の検証を行った結果、一部を修正をすることで電子機器分野でも適用可能であることが明らかとなり、修正方法の検討を行った。 接触電気抵抗の計測に関しては、2017年度の実験では精度の良い計測ができていなかった。2018年度は装置の改善を行い、計測の高精度化に成功した。しかし、いまだノイズが気になるレベルであり、装置自体及びサンプルの形状などに工夫を加えることで、さらなる高精度化を進めている。 また、2018年度の実験及び解析結果から、接触熱抵抗、接触電気抵抗とも、接触面の接触圧力よって接触面の微細な凹凸の微小変形によって接触面高さが微小に変化し、接触面での熱輸送現象を詳細に検証するためには、その変形を適切に考慮することが重要であることが示唆された。そのため、接触熱抵抗及び接触電気抵抗と同時に、接触面の高さも計測できるように計測装置のさらなる改善を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
接触熱抵抗に関しては、計測が順調に進んでいる。また、設計の現場での実用を視野に入れ、接触熱抵抗の簡易計算式の検証も行った。これらの成果より、順調に進んできると判断できる。 接触電気抵抗に関しては、計測精度の改善に成功したが、さらなる改善が必要である。計測の問題点は明らかになってきており、今後の改善の見通しは明るいと考えている。 2018年度末で研究が完了する予定であったが、接触電気抵抗の計測に問題を抱えてしまい、完了に至らなかったため、1年間の延長申請を行った。以上のことより、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
接触熱抵抗の計測を、引き続き行い、データを蓄積する。また、熱流の流れの詳細を熱伝導解析を用いて検証するための、接触面のモデル化手法の検証を引き続き行う。このモデル化手法が確立することで、接触面の熱の輸送の詳細を議論するのみならず、橘・佐野川が提案した接触熱抵抗の簡易予測式を、電子機器の接触圧力範囲でも適用できるようにするための、修正方法の検証も行うことが可能となる。 接触電気抵抗の計測は、さらなる高精度化を行い、接触電気抵抗のデータを蓄積する。 最終的に、接触熱抵抗と接触電気抵抗の関係を検証し、接触面における熱輸送現象が、自由電子支配の現象であるのか、フォノン支配の現象であるのかなど、接触面における熱輸送現象の詳細を明らかにする。
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Causes of Carryover |
接触電気抵抗の計測精度に問題を抱えていたため、テスト用サンプルの購入にとどまり、データ蓄積のための本実験用サンプルの発注を行わなかったため、次年度使用額が生じた。 また、数値解析のためのコンピュータとソフトウェアライセンスの金額を計上していたが、他の研究で使用しているものを利用可能となったため、支出がなくなり次年度使用額が生じた。 2019年度は、次年度使用額を、本実験用のサンプルの購入に200千円、電気抵抗計測の高精度化のための物品費に50千円、接触面高さの計測のための物品費に100千円、成果発表に100千円を使用する予定である。
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