2018 Fiscal Year Research-status Report
単結晶高品位化に資する,非定常表面張力差対流の新規制御法のための物理モデリング
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17K14611
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
工藤 正樹 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 准教授 (60634524)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マランゴニ対流 / 非定常流 / 乱流 / 時空間構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
非定常な温度差マランゴニ対流によって単結晶材に欠陥が生じるという課題が残されている.非定常対流のメカニズムは未解明であり,未だ有効な制御手段が確立されていない.そこで本研究では,効果的な制御手法を確立することを目標として対流場と温度場を詳細に調査し,これらをもとに制御用の物理モデルの構築を行う.H30年度は物理モデルを構築するための基礎データとして,対流場と温度場の時空間構造を引き続き調査し,以下の結果を明らかにした.液柱上下部の位相は臨界点近傍では同相であるが,Maの増加に伴って次第に不規則になる.液柱上下の周期について,マランゴニ数に依らず主となる周波数は同一であるが,細かい周波数成分は異なる.温度場と対流場の双方において脈動流や回転流が観察され,振動流のパターンは一致する.その上,脈動の節の位置や回転の方向が時々刻々変化する複雑な構造である.さらに,数理モデルを構築およびその検証用の基礎データを取得することを目的として,フルゾーン液柱の基礎モデルである薄液膜に対して,非定常マランゴニ対流の粒子画像流速計測法および数値シミュレーションを実施した.実験の結果としては,2次元2成分粒子画像流速計測法を用いて,対流場を再構築できるようになった.数値シミュレーションの結果としては,非定常流の1つであるハイドロサーマルウェーブを再現でき,その波数や伝播角度などの非線形的な特徴が先行実験と概ね一致することがわかった.実験と同等の条件において,これまで数値解析では再現できなかった非定常流(振動ロール流れ)を再現できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H30年度にて対流場と温度場の時系列構造に関するデータをほぼ取得できたが,制御に有効な物理モデルの構築まで至らなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
物理モデル候補を最適フィードバック制御に絞ることができており,引き続き数理モデルを構築する.フルゾーン液柱の全ての情報(対流場および温度場)が利用できるのが望ましいが,実験で得られる情報は限りがあるので,その情報を用いて推定する式を構築する.可能であれば実時間で推定,フィードバック制御できるような簡略化した式の構築を行う.さらに実データをもとに評価を実施する.
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Causes of Carryover |
購入品の当初予定額と差が生じたため.次年度の物品もしくは旅費に充てる.
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