2017 Fiscal Year Research-status Report
自己組織化により運動形態を自律的に選択可能な多重動吸振器の開発
Project/Area Number |
17K14615
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
本宮 潤一 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (80781690)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 機械力学・制御 / 制振 / 動吸振器 / 自己組織化 / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,歩行動物の歩容変化アルゴリズムに着目し,受動機構に依存した多重動吸振器の運動モード切替えを,専用にデザインされた神経系によって行うことで,自ら運動形態を選択可能な多重動吸振器の開発を目指すものである.また,初年度の計画は,理論に関する情報収集をするとともに実験装置の設計・製作に取り掛かり実験環境を整えることであった. そして,当該年度中,複数の運動形態を持つ動吸振器の一例として,振り子式動吸振器を製作しその動特性調査を行った.この試験機は2つの振り子をバネ連結した構造をしており,片方の振り子が駆動系に結合されており,モータへの入力電圧を周期的に変化させることで,振り子に強制振動を与える.このとき,両振り子の回転角度をロータリエンコーダによって測定する.この動吸振器の特徴は,遅い周期では振り子の運動モードが,早い周期では結合バネの運動モードがそれぞれ生成されるように設計されていることである. 製作した実験装置について,運動形態の変化,時系列波形,周波数応答の調査を行った結果,低い周波数から順に同相,反共振,逆位相のモードが生じていることが明らかになった.また,振り子の腕の長さや連結バネの取り付け位置を適切に変化させることで,任意の周波数で任意の運動モードを生成できるようチューニングできることも同時に明らかになった.これらの結果は,運動形態の切り替えを司る神経系のデザインに必要不可欠な情報であり,次年度の研究に対して大変有益な結果を得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の初年度に挙げた実験装置作製とその動特性調査という課題がおおむね順調に進展しており,予定通り,次年度の研究計画へと移行できるため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,本格的に自己組織化をデザインするという課題に取り組み,神経細胞が作り出す動的秩序に対して,相転移理論やネットワーク理論を適宜引用し,その設計手法を明らかにしていく.具体には,ネットワーク理論を用いて次数分布の異なる数種類のネットワーク構造を与えておき,遷移状態を表す関数とネットワーク構造の次数分布との間の相関を明らかにすることで,設計プロセスを確立していく.
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Causes of Carryover |
交付決定額が満額では無かったため,予算都合上,当初申請書に計上していた振動台の購入を取り止めた結果,次年度使用額が生じた.この次年度使用額を含めた翌年度分予算は,当初申請書に計上した金額とほぼ一致するため,その計画通り,ソフトウェアの購入,出張旅費および出版費として使用する計画である.
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Research Products
(5 results)