2018 Fiscal Year Research-status Report
高出力アクチュエータ駆動パワーモジュールの集積化技術に関する研究
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17K14641
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
上口 光 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (30536925)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高耐圧回路設計 / 集積化技術 / パッケージ化技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
信州大学では人体の動作を補助するウェアラブルスーツの研究を行っている。その実用化に向けて、アクチュエータ駆動回路最適化による、省電力化、コンパクト化が最大の課題になっている。本研究課題では、アクチュエータ駆動回路とそのパッケージ、基板、更に制御コントローラ回路を含めたサーボアンプシステム全体の最適化、小型化を目指している。 2年目にあたる平成30年度は高耐圧回路のワンパッケージ化に関する更なる検討を行った。具体的には、平成29年度までに実施した、高耐圧CMOS技術を用いたアクチュエータドライバ回路と降圧電源回路を含めた周辺回路の回路設計回路シミュレーション、設計を基にして、更なる評価を行った結果、負荷変動やノイズなどに対して更なる最適化が必要であることが明らかになった。そこで、これら課題に対して、ゲートドライバを最適に動的制御することでこれが克服できる可能性を考えて、これを実現する回路について検討を行った。 また、制御CPU、電源を含む周辺回路の試作、評価を行い、最新製造テクノロジのARMプロセッサとリアルタイムOS、更に電源回路と通信回路を含む制御ボードをカスタムワンボードで設計、試作した。これらの回路をカスタムワンボード化にすることにより、従来のものと比較して、約1/3の容積を実現した。また、設計したボードを評価して、サーボアンプ回路との通信を安定化し、システム信頼性向上に寄与できることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目である平成30年度は、高耐圧回路の設計を行い、評価し、そこで得られた知見を更なる改良にむけてフィードバックすることが当初の目標であった。初年度の設計結果に基づき、評価を行った結果、負荷変動に対する安定性やノイズに対して課題が見つかったので、回路設計の見直しでこの解決が図れるかの検討をおこなった。その結果、ゲートドライバの動的最適制御に関する検討を開始した。 制御コントローラの最適化では、前年度の検討を基に実際にカスタムボードを試作し、従来と比較して大幅な容積削減と、通信安定化、システム全体の信頼性向上につながる成果が得られた。また、前年度に試作を行った温度センサ、湿度センサの評価も行い、これらが今回のシステム応用に対して、必要十分な性能を有していることも確認している。また、大幅な実装面積削減が得られることを実証し、これらの成果を国際会議、及び、国内研究会などで発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度以降はこれまでの年度の内容に加えて、以下の課題についても取り組む予定である。 ● 高耐圧ドライバ回路のワンパッケージ技術とそのモデル化に関する研究 平成31年度までに実施した内容を発展させて、『(A) 熱、電気回路等、各種シミュレーションによる、最適な回路、及び、チップ配置』の高耐圧トランジスタの回路設計技術にフォーカスして研究を行う。高耐圧駆動回路のゲートドライバを動的に最適制御することにより、電力効率や放射ノイズの改善を図る。また、大電流をサポートするパッケー技術に関しても、『(B) アクチュエータ形状に適したパッケージ形状』、『(C)放熱性、及び、安全性を考慮した最適なパッケージ材料、及び、実装手法』のために最適なパッド形状やチップ内のパッドへの配線手法などを引き続き検討する。集積回路設計を含め、より改善したものを設計した上で、試作、評価を行うものとする。 ●各種フィードバック信号に基づいたPWM信号生成回路と制御プログラムの作成 サーボアンプ回路構成要素の内、制御回路や過電流検知/保護回路、各種センサ回路は低電圧で動作する標準CMOS技術で実現可能である。最終目標は全てを専用ICとし超小型なパッケージを実現することであるが、プロトタイプとしては、まずは既製品で代用可能なMCUを選定し、利用すること優先して考えていた。MCU選定については、当初計画より前倒しして行ったため、平成30年度はカスタムボードの試作を行った。令和元年度以降では、実際にウェアラブルロボットに搭載してアクチュエータ制御プログラムの構築と検証を行う。また、各種センサ回路についても、平成30年度に評価した試作超小型温度、湿度センサの設計技術等を活用し、過電流を検知しシステムを保護する電圧、電流モニタ回路の設計に繋げる予定である。
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Causes of Carryover |
今回の設計ターゲットに適した高耐圧トランジスタ製造プロセスチップの再試作評価や、組立てパッケージ費用、ボード試作費用などのために、次年度以降に当初計画から予測できなかった高額な支出が予想されるため。
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Research Products
(3 results)