2017 Fiscal Year Research-status Report
An Ultra-light Load Efficient Magnetic Resonance Wireless Power Transmission System
Project/Area Number |
17K14642
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
宮地 幸祐 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (80635467)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非接触給電 / 軽負荷効率 / 集積回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の前半では非接触給電システムの低損失化に向けた回路方式の検討を予定通り行った。送電、受電において、電力が必要な時だけ送電動作、受電動作を一定期間行い、それ以外では動作を止めるConstant-On-Time(COT)制御の検討を特に重点的に行った。このとき、受電側の電力が足りなくなったことを送電側に通達する仕組みが必要となったが、送電アンプを止めても送電LC共振器の共振が減衰しきらず、受電側から送る信号が埋もれてしまうことがわかった。このため、送電アンプを動かすきっかけは受電側からの要請ではなく、送電共振器(具体的には送電コイル)のエネルギーが一定値を下回ったときにすることとした。具体的には、送電共振用のコイルの交流電流を別のコイルで電磁誘導結合させてモニタリングし、この交流電流が一定値未満となった時、送電アンプを起動する仕組みを考案した。この他に、システムの効率を改善するために、受電側の整流動作のスイッチングのターンオフ時だけでなく、ターンオン時にも同期を行うように制御を改良し、さらに同期制御回路内のアナログ回路のバイアス電流に起因する静的消費電力が大きいことから、制御回路のデジタル化を進めた。 これらの構成を0.18um標準CMOSプロセスを用いた集積回路に実装し、実測による評価を行ったところ、COT動作の確認を取ることができ、特に送電側COT制御がないときと比べて2倍近い効率の改善が実現できた。2.4V出力12mA負荷時に送電側から受電側までの最大電力伝送効率は28.2%であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示したように、送電回路のCOT制御の検討において、受電側の電力が足りなくなったことを送電側に通達する仕組みを当初の予定として検討していたが、送電アンプを止めても送電LC共振器の共振が減衰しきらず、受電側から送る信号が埋もれてしまうことがわかったため、別の方式を別途検討することになった。そこで、送電アンプを動かすきっかけは受電側からの要請ではなく、具体的には送電コイルのエネルギー(具体的にはコイルに流れる電流)が一定値を下回ったときにすることとするように変更すれば良いと考え、対応することができた。よってまずは当初計画通り1次試作を通じて提案制御回路の基本的な動作と有効性の確認ができたと考える。 一方、最終目標である負荷5mW~100mWの範囲で50%以上の効率からは下回る結果となったが、1次試作から2次試作に向けた課題抽出ができたと考えている。損失の原因は(i)受電回路の同期制御に不具合があり、スイッチング損失が発生したことと、(ii)電力が不要の際に共振器内で回生している際の損失が大きいことであることがわかっている。また、スイッチングトランジスタサイズの適応的制御を行っていないため、軽負荷での効率改善もまだ見込めると考えている。この他に、出力の電圧を一定に保つために出力と整流回路を適宜つないだり切り離したりしているが、それにより出力電圧の揺れ(リプル)が200mV程度と大きいことがわかっている。最終目標に向けた効率改善とともにリプルの低減のために負荷容量の最適化や制御の工夫が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
受電回路のスイッチング損失の低減のためには同期回路で生じているスイッチング誤動作(チャタリング)の解消が必要である。チャタリング修正回路については目途がついているが、これを解消したとしても同期に問題が生じるリスクがあることもわかっている。これは同期回路が連続時間フィードバックを用いており、整流動作が繰り返され続けると同期精度が上がる仕組みとなっているのに対し、COT制御のように整流動作を頻繁に中断する制御と相性が良くないことに起因しており、同期制御回路そのものの構成の見直しも検討する。また、受電共振回路内の損失低減については、出力に電力を送らない間共振器内の電力を回生、維持するためのトランジスタスイッチを設けているが、この導通損失を低減する必要があることがわかっている。このスイッチのサイズの最適化やこのスイッチを用いずにCOTを実現する制御回路の検討が必要である。また、リプルの低減には整流回路の停止、動作だけでなく、負荷に応じて昇降圧動作と組み合わせることも検討する。これらの改善以外に、低損失なコイル設計、ドライバトランジスタサイズの適応的制御など、総合的な低損失化技術の導入を行い、最終目標の達成を目指す。 上記の検討を平成30年度前半にシミュレーションをベースで行い、有効な制御手法の絞り込みを行う。その後、年度後半に本格的な集積回路設計試作を0.18um標準CMOSプロセスにて行い、測定評価を通じて実証をする。
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Causes of Carryover |
旅費の使用が予定より少なかったため、翌年度分の消耗品に使用する予定である。
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