2017 Fiscal Year Research-status Report
短時間先の電圧変動推定に基づくモデル予測型電圧管理手法の開発
Project/Area Number |
17K14647
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
芳澤 信哉 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (90778185)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 電圧管理 / 配電系統 / 電圧管理 / 電圧変動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,配電系統への太陽光発電の大量導入によって生じる電圧逸脱問題を解決するため,短時間先の電圧変動推定に基づくモデル予測型の電圧管理手法を開発することを目的としている。平成29年度は,(1) 実配電系統モデルにおける電圧変動解析アルゴリズムの開発,(2) 配電系統のセンサ計測器の設置地点による電圧管理性能評価,の二つの項目に取り組んだ。 項目(1)では,既に構築済みの実配電系統モデルを数千軒規模のモデルへと拡張し,地域特性を反映させた大規模配電系統モデルを構築した。その上で,高圧・低圧需要家での実測負荷データと衛星日射量データとを対応付け,多様な太陽光発電の導入量・導入分布における電圧変動解析を可能とするアルゴリズムを開発した。 項目(2)では,(1)にて開発した電圧変動解析アルゴリズムを活用し,集中電圧管理手法下におけるセンサ計測器の最適配置に関する検討を実施した。具体的には,(1)にてモデル化した大規模配電系統モデルに研究代表者らが過去に開発した集中型電圧管理を実装し,センサ計測器の設置地点による電圧管理性能を比較することで,電圧逸脱量や電圧制御機器のタップ動作回数にどの程度の影響があるのかを解析した。その結果,電圧逸脱量の観点から電圧管理性能を一定以上に保ちながら,センサ計測器の設置台数を削減できる可能性があることを明らかにし,また,センサ計測器の設置箇所によっては電圧制御機器のタップ動作回数の低減にも効果があることを示した。必要なセンサ計測器数の削減ができれば,導入コストの削減や実システムへの適用も視野に入れることができるため,本研究課題にて提案する電圧管理手法の実用化に向けた知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象とする配電系統モデルを数千規模へと拡張し,多様な太陽光発電の導入量・導入分布における電圧変動解析により,集中電圧管理手法下におけるセンサ計測器の影響評価を行うことでセンサ計測器の最適配置に関する検討を実施した。また,電圧変動解析アルゴリズムの開発も行い,その有用性を確認した。このように,申請時の研究計画に従って順調に研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終的な目的は,モデル予測制御の理論を組み込んだ電圧管理手法を開発することである。次年度は,開発した電圧変動解析アルゴリズムを活用し,短時間先の電圧変動推定部と推定結果を用いた電圧管理部の構築を行い,構築した配電系統モデルを用いた定量的評価を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定であったワークステーションが見積もり時の金額より安く購入できたこと,また,国際学会出張として確保していた予算額と実際の支出との間に差が生じたことが理由となり,次年度使用額が生じた。 次年度では,翌年分の助成金と併せて研究成果発表に使用する予定である。
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