2018 Fiscal Year Research-status Report
水素社会実現のための固体高分子形燃料電池における非接触磁場計測による制御法の確立
Project/Area Number |
17K14650
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Research Institution | Oyama National College of Technology |
Principal Investigator |
秋元 祐太朗 小山工業高等専門学校, 電気電子創造工学科, 助教 (30793947)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / スタック / 磁場 / 非破壊診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、水素社会の構築に必要不可欠である固体高分子形燃料電池(以下、PEFC)の燃料濃度と生成水分布といった内部状況の再現により不具合回避のための汎用的な制御方法を確立することである。手法としては、申請者らが開発した非接触磁場計測装置によりPEFCの磁場を計測し、計測値を用いて内部状況のシミュレーションおよびPEFCシステムの制御を行う。また、本研究では制御手法の汎用化のためにさまざまな燃料電池スタックを対象として研究を行う。今年度は主に3点の課題について取り組んだ (1:空冷PEFCの各運転条件における磁場計測および制御) 前年度は、実験的にPEFCの最適運転および不具合に至る条件におけるPEFC空冷口内の磁場計測を行った。今年度は磁場計測値および不具合時における制御を行った。フラッディング時の電圧低下が起きた際には空気流量を増加させることによって出力を安定に保つことができた。また、フラッディング時には時々刻々と磁場計測値が変化することが確認された。来年度は磁場計測値やその傾向を制御指標として実験を行う予定である。 (2:水冷PEFCのシミュレーションモデルの構築) 前年度作成した空冷と同様に、水冷PEFCにおいても磁場を基づくシミュレーションモデルを3次元有限要素法ソフトウェア(COMSOL Multiphysics) 上に構築した。来年度はシミュレーション上における不具合状態の再現を行う予定である。 (3:水冷PEFCにおける電圧低下要因評価) 水冷PEFCにおいて各セルの電圧低下要因を特定するために申請者が先行研究にて提案した理論モデル式を用いたフィッティングおよび電流遮断法などによる分極評価によって各セルの電圧低下要因を特定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空冷PEFCに関しては、年度当初に申請した交付申請書に記載した内容(磁場計測、シミュレーションモデルの構築、内部状況の再現)を達成しているため、順調に進んでいると言える。水冷PEFCに関しては出力低下時の磁場測定およびシミュレーションモデルにおける不具合評価を行うことができていない。この理由として、水冷PEFCは温度など運転状況が均一であるために出力が安定しており、一部で不具合が起こりづらく、すべてのセルで同時多発的に起こることが原因である。今後は現在と異なるPEFCも対象に入れ計測、評価していく。 一方で、水冷PEFCのシミュレーションモデルの構築を行い、平常時においては計測値、実験値とも同様の結果を得ている。また、空冷PEFCにおける制御方法の検証という次年度以降の課題も着手している。そのため、おおむね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
空冷PEFCにおいては、磁場計測値やその傾向を制御指標として実験を行う予定である。スタック積層方向の磁場だけではなく、電流に関係のある面方向の磁場も制御指標として用いる。 水冷に関しては、前述の通り、運転状況によって一部のセルに不具合を生じることが難しいため、他のスタックの計測についても検討する。 そして、今年度は国際学会2件の発表を行った。来年度についても同様以上に、情報発信に努める。
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Research Products
(7 results)